なぜ「令和2年分」の扶養控除申告書を提出するの?

 年末調整の際に会社から配られる書類は、今年(令和元年)の場合は以下の3種類です。

・令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書
・令和元年分 給与所得者の保険料控除申告書

 ここで疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。3種類の申告書のうち、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下「扶養控除申告書」)だけは、令和元年分でなく令和2年分だからです。

 実は年末調整に必要なのは令和元年分(正確には「平成31年分」です)の扶養控除申告書なのですが、これはすでに会社に提出済みです。一方、令和2年分の扶養控除申告書は令和2年に給料を受け取る初回までに会社に提出する必要があります。また、翌年分の扶養控除申告書の記載内容を、当年分の年末調整の際に参考にしたりもします。

 そのため年末調整のタイミングで、合わせて翌年分の扶養控除申告書を会社に提出することにしているのです。

年末調整で「全て」を終わらせることはできない

 年末調整の手続きにより、確かに会社員の方の所得税の納税は完了します。しかし、そのままでは損をしてしまうケースもあります。

 代表的なものが以下の3つです。

●医療費控除により税金の還付を受ける場合
●住宅ローン控除につき初年度の適用を受ける場合
●上場株式等の売却損を翌年以降に繰り越す場合

 これらの適用を受けるためには、ご自身で確定申告を行う必要があります。年末調整では上記の手続きは行いません。

 確定申告を怠ると、損をしてしまうことになってしまいますので、忘れずに確定申告を行いましょう。

 また、会社からの給料に加え、例えば副業の収入や不動産賃貸の収入があるような場合も、確定申告が必要です。会社からの給料以外は年末調整で処理することができませんので注意してください。

 次回も年末調整について知っておきたい基本的な知識につきお伝えする予定です。ご自身の年末調整の手続きをする際の参考にしてください。