米中「部分合意」を好感して上昇する日経平均。落とし穴は?

 11日に米中通商交渉が部分合意に達し、15日に予定されていた米国による対中制裁関税引き上げが見送られてから、日経平均株価は上値抵抗線となっていた2万2,000円を抜け、順調に上昇しています。

日経平均株価週足:2018年初~2019年10月21日

 

 ただ、注意すべき点はあります。現時点でまだ、部分合意は確定していません。合意文書を作成し、トランプ大統領と習近平国家主席が署名するまで、1カ月以上かかる見通しです。今回の「部分合意」劇があまりに米国主導だったので、合意文書作成の過程で、中国側が新たに要求を出す可能性もあります。そうなると、部分合意の成立に暗雲が漂う可能性もあります。

 中国側が問題にしそうなのは、以下2点です。

【1】米国が12月15日に予定している「対中制裁関税第4弾」(輸入品1,600億ドル相当に10~15%の制裁関税をかける)を撤回していないこと。

【2】米国が中国通信大手ファーウェイへの禁輸も解いていないこと。また、10月7日に中国の監視カメラ大手ハイクビジョンなどへの禁輸措置も新たに決定したこと。

 部分合意が正式に調印されても、問題は残ります。今回の部分合意は、合意できない問題をほとんど棚上げして、とりあえず「合意」を演出しただけです。今後、さらに交渉が進展しないと、12月15日に予定されている「対中制裁第4弾」が発動されてしまうことになります。

 私は、第4弾の発動もなんとか回避されると予想していますが、予断を許しません。第4弾が発動されると、そこからさらに対立がエスカレートするリスクもあります。