円ベース投資家にとってのパズル

 日本からの円ベースの新興国投資では、もう一つ複雑なパズルを解く必要があります。

 ドルが本格的に下方トレンドに入るとき、おそらく円は最強通貨の一つになるでしょう。対ドルでの新興国通貨上昇の可能性の上に、円高リスクを重ねて読み解く必要があります。これを面倒と思うか、醍醐味と思うかが、DIY投資家になるかどうかの試金石と言えるかもしれません。

 最後に、円ベース投資の基本原則を再確認しておきます。「リスクオフで円高、株安」の宿命を逃れられない以上、リスクオンの追い風が吹いている時だけ株式や外貨建て資産を保有し、リスクオフの前兆となるつむじ風が吹き始めたらそれらを売り始めて、リスク圧縮を図る、それを淡々と繰り返すのみです。

 2020年は、追い風が吹く段階ではないでしょう。米国の景気動向、金融緩和、株式相場、そして大統領選をにらみながら、2018年後半以来のつむじ風が、本格的な逆風になるか、凪(な)ぐかを見極める一年になりそうです。つむじ風が凪ぐと、ドル/円も株価もほどほどでサポートされ、安堵(ど)する投資家も多いでしょう。しかし、中長期サイクルを狙うDIY投資家にとっては、それなりの円高、株安になってようやく買いの好機到来です。