株価の下落加速に警戒サイン点灯

■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2019年10月4日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は少し長めの日経平均の日足チャートです。

 先週は窓空けによって株価が下落したことは先ほども触れた通りですが、この窓空けが25日移動平均線をまたいでいることと、ローソク足が何本か並んだ天井圏の塊が形成されて「アイランド・リバーサル」の格好になっていることに注目です。

 チャートを過去にさかのぼってみると、同じようなパターンが存在していることに気付きます。具体的には、4月中旬から5月のあたまにかけての時期と、昨年9月中旬から10月上旬にかけての時期です。両方とも75日移動平均線がサポートして機能しなくなってから下げ足を早めています。そのため、今週の日経平均は75日移動平均線の維持がとても重要になってきます。

 つまり、日経平均の日足チャートを「ローソク足と移動平均線の位置関係」で捉えれば、株価調整の一服を感じさせる形なのですが、「株価の天井形成から下落に至った値動きパターン」で捉えると、株価の下落加速が警戒される形になっているわけです。

 そもそも、先週の株式市場が大きく下落したのは、10月1日に米国で発表された9月のISM製造業景況感指数が47.8と10年3カ月ぶりの低水準となり、米国株市場で景気後退懸念が強まったことがきっかけです。ISM製造業景況感指数の悪化自体は前月にも見られたのですが、その後に発表された非製造業部門の景況感指数が比較的堅調だったことで景気後退懸念が和らぎ、株価が持ち直した経緯があります。

 先週も同様に非製造業部門の景況感指数が発表されたのですが、今回の結果は市場予想以上に悪化し、2016年8月以来の低さに沈んだことで米株市場が下げ幅を拡大させる場面がありました。「米中関係の影響もあって製造業部門が悪いのは想定通りだが、サービス業などの非製造業部門も良くないということは、米国内の景気後退を織り込む必要が出てきたのではないか?」というのがざっくりとした株式市場の反応です。

 これまでは経済指標がある程度良くない方が金融緩和や経済政策期待につながり、株価が上昇することが多くありましたが、先週の株式市場は指標の悪化に下落で素直に反応する動きがあったことに留意する必要があります。「FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げで景気が好転するのか?」という疑心暗鬼の見方が強まり、株価があまり上昇しない可能性があるからです。

 そのため、今週の日経平均は反発スタートが見込まれるものの、過度な期待は禁物というのが基本スタンスになりそうです。

 とはいえ、今週は米中閣僚級の協議が行われる予定(10~11日)ですので、サブシナリオも用意しておく必要があります。米中関係に何か進展があれば、国内外の景気や企業業績悪化の底打ち感につながるため、積極的に上値を追っていく展開が想定されますが、進展が見られず、反対に関係悪化となった場合には失望感で下落のきっかけにもなり得るため、今週最大の注目イベントになります。