次に株価材料を整理してみたいと思います。

 先週の株価上昇の背景には「1.米中関係の改善期待」「2.各国の金融政策や経済政策への期待」「3.メジャーSQを控えた需給的な思惑」の3つが挙げられますが、今週は3.の材料がなくなる他、2.については米FOMCと日銀の金融政策決定会合が予定されています。イベント前の様子見と通過後の株式市場の反応が注目されることになるため、週始めの段階で2.は積極的な上値トライの材料にはなりにくそうです。

 そのため、先ほどの連騰記録への意識と合わせて考えると、先週見せた上値追いの勢いが弱まり、上昇の一服があっても自然な動きと考えることができます。

 また、1.については、株価水準と重ね合わせるとイメージしやすい面があります。

■(図5)日経平均(日足)の動き その2(2019年9月13日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先ほども触れましたが、次の日経平均の上値ターゲットは4月24日高値である2万2,362円になります。当時も米中関係において、「両国間で協議がまとまるのではないか?」という期待が高まっていた時期でしたし、先週上抜けた7月の直近高値(2万1,823円)についても、6月末に行われた米中首脳会談を受けて、米中関係が比較的落ち着いていた時期につけた値段でした。

 足元の米中関係は「一時休戦」から、さらに踏み込んだ「緊張緩和」ムードに進展しつつあるような動きがちらほらと見られるようになっています。少なくとも10月1日の中国の国慶節まではこのムードが続くという見方に加え、今週は次官級の協議、10月以降は閣僚級の協議が再開される予定となっており、期待も高まることも予想されるため、4月24日高値の水準まで上値を伸ばす可能性はありそうです。

 とはいえ、4月高値から先の年初来高値更新エリアに深く足を踏み入れて行くにはさらなる好材料が必要になりそうなことや、7月と4月の高値はその後の米中関係の悪化懸念の高まりによって下落トレンドに転じていますので、「持ち上げられた株価がドスンと下方向へ」というシナリオへの警戒は怠れないことになります。

 そのため、今週は株価が下落したときの背景が焦点になりそうです。過熱感や達成感による株価下落であれば、押し目買いの好機と捉えることができますが、米中関係の悪化や新たな不安材料の浮上などが背景にある場合には下落が加速していく可能性があるため、注意が必要になってきます。