3:分からないことは判断できないという前提で行動を決める

 当たり前のことだが、分からないことを、分かったという前提で行動を決定するのは愚かなことだ。

 たとえば、どの資産のリターンが一番良いかが事前に分かっていれば、アセットアロケーションは一資産への集中投資でいいが、そうはいかないから、幾つかの前提に基づいて複数の資産に分散投資することが多い。これは、「分からないことは、分からない」という前提の下に可能な限りでベストの行動を選択しようとする意思決定の例だ。

 しかし、年金基金の多くは、たとえば国内株式、外国株式といった伝統的な資産の運用において、「よいアクティブ運用機関を事前に見分けることはできない」という現実(常識)を薄々知りながらも、インデックス運用よりも高いフィー(運用手数料)を払って、アクティブ運用を委託し、平均的に見ると失敗している。

 これは、「選べるつもり」(行動経済学で言う「オーバー・コンフィデンス(=自信過剰)」)なのか、「それが仕事であり、選ばなければいけないから、選べるふりをしている」ということなのか、運用会社やコンサルタント(特に後者)に担がれているか、のいずれか又は複数の理由によるものだろう。