循環物色に起因する下落

 それでは、それ以外の銘柄はなぜ下げているのでしょうか? それは株式関係者がよく言うところの「循環物色」という概念によります。

 循環とは「回る」という意味ですが、順番に人気が移ろっていくことを指しています。一つのセクターが人気になり、買われ過ぎると、(もうそろそろ、キケンじゃないの?)という不安が投資家の間に生まれ、出遅れて割安に放置されているセクターへ物色の矛先がシフトするような現象が起こるわけです。

 このようなシフトは、ほんの些細(ささい)なことが引き金になって起こります。

 例えば、今回の場合だと世界的に長期金利がどんどん低下する現象がずっと続いていました。長期金利の低下は、(世界経済の成長が鈍化するのでは?)という懸念が出ているときに起きやすいのです。

 すると、そのような厳しい環境の中でも、ドッコイ素晴らしい成長を見せている銘柄には希少価値が生まれます。上に列挙したような急成長株がチヤホヤされる環境は、そのようにして醸成されたのです。

 しかし、しばらく長期金利は上昇に転じています。これは、今後世界の景気が回復に向かうのではなくて、今まであまりにも下がり過ぎた長期金利に対して、(そろそろ揺り返しが起きるのでは?)という、トレーダーたちの思惑が出たことで相場が逆流したという説明の方がしっくりきます。

 金利上昇は小型成長株のバリュエーションにはネガティブに働きます。その関係で慌てて皆が、これらのたんまりと利が乗っている銘柄から我先に降り始めた……そういう説明ができるでしょう。

今後のシナリオ

 上で見たように、今回の小型急成長株の下げは、決算に起因する下げだったのは、ゼットスケーラーのみで、その他の銘柄の決算は良かったわけです。

 すると、循環的な水準訂正が一巡すれば、また以前通り、小型成長株に人気が戻って来るシナリオも大いに考えられます。

 特に、今後の世界の長期金利の動きに注目してください。また金利が下がり始めたら、そのときはチャンスだと思います。