配当金や分配金は?

 では、上場株式の配当金や、ETF(上場投資信託)やREIT(リート:上場不動産投資信託)の分配金に対しての消費税はどうなっているのでしょうか?

 配当金が1株100円で、100株保有しているならば配当金合計は100円×100株=1万円です。この配当金には消費税はかかりません。

 ですから、1万円が消費税込みであり、1万円÷1.08=9259円が消費税抜きの金額、という考え方はしません。もしくは1万円が税抜きの金額で、それに8%の800円を上乗せした1万800円の配当金を受け取れる、ということもありません。

 配当金にはそもそも消費税はかからないわけですから、消費税増税の影響もない、というのが結論です。

信用取引の各種コストは?

 最後に、信用取引にかかる各種コストに対する消費税についても見ていきましょう。

 信用取引には次のようなコストがかかります。

・売買手数料
・買い方の金利
・貸株料
・逆日歩(品貸料)
・事務管理費
・名義書換料

 このうち、消費税がかかるのは売買手数料、事務管理費、名義書換料です。

 楽天証券の場合、事務管理費は1カ月ごとに1株当たり税抜きで10銭かかります。また、名義書換料は権利確定日をまたぐごとに、1単位当たり税抜きで50円かかります。

 いずれも、消費税率が8%から10%になることによって、2%相当のコスト増となりますが、これらの手数料自体が大きな額ではないので、それほど気にする必要もないと思います。

 なお、そもそも利息には消費税はかかりません。そのため、買い方の金利や貸株料、逆日歩のように、金利の性質を持つものについては、消費税がかからないことになっています。

 消費税の増税により、株式投資のコストが少し上昇するのは間違いありません。ただ、それが運用成果に大きな影響を与えるとはいえず、軽微なレベルにとどまる、というのが結論です。

 したがって、消費税増税は気にせず、今まで通り株式投資を続けていって大丈夫、というのが筆者の考えです。