公的年金は何十年長生きしてももらえるところが「得」と考える
公的年金は社会保障制度の一つです。基本的には働いて十分な所得を得る力が弱まってきた高齢者の所得減少をカバーするためのものです。
しかし、これを「払った保険料をもらえるか」という損得ばかりで議論するから誤解がたくさん生まれてしまいました。
そもそも、長生きされなかった方と、人より長生きされた方との間には男女も世代も関係なく「損得」は生じています。それは団塊世代やそれ以上の年代でも同様です。
例えば60歳代後半から70歳代前半で亡くなった場合、基本的には「損」です。平均寿命よりもずっと長く長生きし、90歳代を超えて100歳まで年金をもらった人は何年生まれの世代であっても全員が「得」でしょう。
これをもし「本人の払った保険料分、年金をもらったらそこで打ち止め」としたら、むしろ不安な制度になってしまいます。年金というのは保険的なものであり、何年長生きできるかは分からないという老後の不確定さを社会全体で支え合うシステムなのです(ちなみに、公的年金の保険料率や給付については男女差別がありません。ということは平均寿命の長い女性のほうが、相対的に年金で得する可能性も高いことになります。不健康な生活を送っている人は、平均より長生きするよう、自らの生活改善をすることが一番の「年金で得する方法」かもしれません)。