公的年金、つぶれはしないが減るは減る

 公的年金の破たんはまずありません。一時期の雑誌やテレビの「年金破たん論」は現実的にはウソでした。それを証拠に当時、破たん論を述べていた経済学者のほとんどが今では口をつぐみ、年金破たんに関するコメントをしていません。

 そもそも論で言えば、社会保障制度は国が存続する限り維持されます。それは国の生存権の保障にもつながる話であって、そんなに簡単に破たんしません。

 現実の公的年金制度は、マクロ経済スライドなどの政策を織り込み済みで、これは少子化や長寿化を考慮済みということです。簡単に言えば、長期的に制度全体の収入(保険料)と支出(年金給付)のバランスを取る仕組みがあるので、破たんすることのほうが難しいくらいです。

 もちろん「減るは減る」ということは間違いありません。マクロ経済スライドを実施することにより「毎月」の給付水準は20%程度下がるとしています。しかし、70歳まで働ける世の中になって年金を繰り下げて増額してもらったり(70歳からもらえば42%アップ)、長寿化により今の年金受給者より4~5年長く受け取ることができれば(男性65歳の平均余命が19年から25年に伸びれば31.5%アップ)、こうした給付減も取り戻すことも不可能ではありません。