公的年金財政検証が公表。たぶん不安ばかりがよぎるでしょうが実は違う

 公的年金は5年に一度財政検証を行うことになっています。5年に一度チェックを行い、必要に応じて軌道修正をすることで、公的年金の財政が健全に維持されるようチェックする仕組みです。

 5年前の2014年には6月に公表されていたものが、今年は(おそらく)選挙の影響もあって、公表が8月下旬にずれこみました。早速、新聞報道になっていますし、これからしばらくはテレビや雑誌がこれをネタにすることでしょう。

 今のところ見ていると、「財政の不安がある」というような切り口がすでに見られます。実は、前回の財政再計算より最悪のシナリオでも年金財政は好転する試算となっています。というのも少子化問題に一定の歯止めがかかり、高齢者や女性の雇用の進展は進み、この5年間の国内経済については、基本的にいい方向で推移したからです。

 しかし、「20%下がる」というような、不安を煽(あお)るような文字がニュースで使われるのは、相変わらずだなあと思います。実はこれも10年以上前から決まっていたマクロ経済スライドの影響が示されているだけだからです。

 SNS(交流サイト)などの反応を見ていると、公的年金についてはやはり誤解が多いように思います。きちんと解説してくれる人が少ないこともまた、不安を減少できなかった理由の一つです。

 公的年金の基礎的な理解は、「老後に2,000万円」のような老後資産形成を考える前提ですし、適切なリスクを取るためにも必要だと思います。

 今回は、ここで公的年金について「これだけは知っておきたい最低限の知識」をまとめてみたいと思います。