日本における台風接近率と上陸率は、この70年間でわずかながら上昇

 日本における台風に関するデータで、長期的にみて注意すべきデータがあります。以下は、日本における台風接近率(台風の接近件数÷台風の発生件数)と上陸率(台風の上陸件数÷台風の発生件数)です。

図:日本における台風接近率と上陸率

出所:気象庁のデータより筆者作成

 当該データは、台風の中心が観測施設から300km以内に入った場合を“接近”、台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合を“上陸”としています(小さい島屋半島を横切った場合を除く)。

 近似値線(赤実線)が示すとおり、非常に緩やかですが、台風の接近率と上陸率はこのおよそ70年間で上昇しました。世界規模で懸念されている異常気象との関係は定かではありませんが、やはり今後も、日本における台風の接近率や上陸率が上昇すると考えて行動することが重要だと思います。

 例えば、熱帯で生育する天然ゴムの生産が近年、もともと主要な生産地でなかった中国南部の雲南省で生産量が増加していたり、本来熱帯に生息しているはずの蚊や蟻などの昆虫が日本でも確認されたりする例が目立っています。

 熱帯特有の事象の北限が上がってきていることを示唆するこれらの例と、台風の活動域の北限が上がる、つまり日本に接近したり上陸したりする台風が増えることの根本原因は同じなのかもしれません。

 気象庁をはじめとした専門機関の情報に、これまで以上に関心を寄せ、“減災”や原油価格など“コモディティ価格の変動”に備えることが、今後、ますます重要になってくると思います。

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