前日(9月7日)の市況サマリー

ドル/円:108円割れ目前まで下落

 東京時間の109.26円を高値にじりじりと値を下げ続けたドル/円は、NY時間には昨年11月以来となる108.03円まで下落しました。週末の地政学リスクの高まりに加え、米国のハリケーン被害が甚大で、FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策の判断に影響が出るとの思惑で、米長期金利が低下したことが大きな理由。終値は108.487円(前日比-0.712円)。(チャート1)

 

ユーロ:ドラギ総裁はユーロ高を容認?ユーロ/ドルは乱高下

 ECB(欧州中央銀行)は、この日会合で政策金利を現行の0.00%に据え置きました。決定は予想通り。ユーロ相場は乱高下となりました。

 ECB会合を目指して欧州時間序盤から上がり始め、1.20ドルにのせたあとドラギECB総裁の会見が始まると同時に1.19ドル前半へ急落。しかしすぐに1.2059ドルまで買い戻され、8月29日以来の高値を更新することになりました。

 ドラギ総裁の会見は、全体として、ユーロにとって前向きな内容でした。ユーロの水準について、ドラギ総裁は、「為替動向を注視する」と述べました。しかし、「強すぎる」というような表現は使わず、このことがユーロ高の容認と受け取られました。「金融緩和は依然として必要」との発言も、マーケットにとっては想定内。そもそもマーケットはECBがすぐに利上げするとは期待していないので、失望もありませんでした。

 ユーロ買いが活気づいたのは、ドラギ総裁が、次回10月の会合で、量的緩和縮小について発表することを示唆したこと。ECBが金融政策を変更することを事前告知したことになり、今後のユーロは、緩和縮小開始を既定路線として動いていくことになります。その後ユーロ/ドルは、買い一巡後の達成感もあって、1.19ドル後半まで下げる場面もありました。NY時間終盤にかけては1.20ドル台前半での取引が続きました。(チャート2)

 ユーロ/円は、ユーロ/ドルの急上昇に連れて131.08円まで上げたあと、ドル/円が下げたことで、当日安値となる129.90円まで下落しました。(チャート3)

 

今日の注目指標

 カナダ銀行は今週、予想外の利上げを実施しました。据え置き予想だったマーケットは、あわててカナダ買いに走り、ドル/カナダは2015年6月以来の水準まで下落(カナダ高)、カナダ/円は年初来高値を更新しました。カナダ銀行は、通貨高は「経済の強さを反映したもの」であるとして、カナダ高を容認する姿勢。

 今夜のカナダ雇用統計も堅調な市場予想となっていますが、週末ということもあり、調整のきっかけとして使われる可能性もあるので注意が必要です。なお、BIS(国際決済銀行)は最近のレポートで、「カナダの金融システムは、世界で最も脆弱なうちのひとつ」と警鐘を鳴らしています。

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