ECサービスに注目

 米国における食料・飲料のECサービス市場は、今後4年間で年率18%の成長が予測されており(出所:eMarketer)、今後はこの分野でこれまで期待されてきたアマゾン・ドット・コムの他、ウォルマートなどの大手スーパーも市場の拡大に寄与していくと考えられます。大手スーパーではウォルマートの他、ターゲット(TGT)クローガー(KR)もECサービスを強化しており、ターゲットも足元の決算(2020年1月期2Q)ではECによる販売が前年同期比37%増に拡大しました。

米国の食品・飲料のEC販売市場規模(単位:十億ドル)

出所:eMarketer

 大手スーパーの強みは、生鮮食品や雑貨を扱う店舗が既に各地に展開しており、そこを基点にECサイトで注文し商品のピックアップや配送ができる点にあります。各店舗を普段利用している地元の消費者の中には、利便性さえ確保できれば馴染みのある店舗の食材をオンラインで注文したいと考える層がいると考えられます。

 ウォルマート(米国)の場合、2020年1月期2Q時点では、2,700店以上でオンラインから注文した食料・雑貨をピックアップすることができ、1,100店以上で当日配達ができる体制を築いています。この利便性が顧客から支持され、2020年1月期2Qにおける米国のウォルマートのECサービスは前年同期比37%増に拡大、既存店売上高増減率を1.4%押し上げました。

 今後も、同社のECサービスはさらに拡充する見通しです。ピックアップ可能店舗数は3,100店、当日配送可能店舗は1,600店舗まで拡大する計画である他、スマートキーを使って自宅の冷蔵庫まで食料品を届けるサービス「InHome」を一部の地域でテスト展開する予定です。また、音声による注文についてはグーグル(googl)と提携しており、将来的には商品名やサイズを全て言わなくても、過去の履歴から商品を予測・発注できるサービスが広がる可能性があります。