仕組み3:コストの外部化

 さて、前ページの説明をよく考えてみると、市場で現物株をサッと買い集め、逆に空売りしているのは、あくまでもアービトラージのチャンスを狙っている証券会社であり、ETFの運用会社ではない点に気づきます。

 ETFの運用会社は、単に物々交換で1セットのポートフォリオを構成する株式の持ち込みに対して、ETFを設定しているだけなのです。言い換えれば、運用会社の側で発生する費用はゼロに近いのです。

 このように、個人投資家から預かった資金を使い、投資信託会社自らが株の発注をしてポートフォリオを構築する通常の投資信託とは、かなり事情が異なります。ETFの場合、買い注文に伴って発生する株式売買手数料は、投資家から預かった運用資産の中から捻出されるのです。

 ETFでは、そのような煩雑な作業を、サヤ抜きを行うAPたちに全部負担させているわけです。これはコストの外部化であると言えます。ETFの費用比率が、信じられないほど低い原因の一つは、ここにあります。

 さて、個人投資家が投資信託を買うと、その投信の持ち主は受益者と呼ばれます。投信会社は、誰が受益者であるかを常に把握していて、年2回、運用報告書を受益者に郵送します。

 これに対してETFの場合、株式と同じ扱いになりますので、誰が何株保有しているか? という記録は、それらの株を混蔵保管している証券会社が把握すべき事柄となります。

 言い換えれば、ETFの運用会社は受益者を常時把握するという事務作業から解放されるというわけです。受益者に対する諸々の報告作業がないということは、運用会社のコストの低減につながります。このことは、事務作業の面でもコストの外部化が実現しているということです。