ETFの仕組み

 ETFはニューヨーク証券取引所などに上場され、あたかもアップル株やコカコーラ株と同じ感覚で、手軽にトレードできる投資信託です。

 普通、ETFは特定の株価指数をなぞるように設計されています。
例えばナスダック100指数をベンチマークとしたパワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(ティッカーシンボル:QQQ)がその例です。これはナスダックの大型株ばかり100銘柄で構成される指数であるナスダック100指数をトレースすることを目指しています。

仕組み1:設定(クリエイション)

 実際に新しいETFが設定(クリエイション)される過程を説明します。

 いまQQQがベンチマークとしているナスダック100指数より、仮に1%プレミアムで取引されていたとします。

 すると証券会社(=彼らのことをAP、すなわちAuthorized Participantと呼びます)は、ナスダック100指数を構成するアップル、マイクロソフト、グーグル、インテルなどの100銘柄を同株数、瞬時に市場から買い集めます。そして、その1式のポートフォリオをQQQの指定する信託銀行に持ち込むわけです。

 QQQを運営している投信会社は「インベスコ」という会社ですが、インベスコはその1セットの株を受領するのと引き換えに、等価のETFを設定するわけです。これがクリエイション(=創造の意)と呼ばれるプロセスです。

 証券会社は受領したETFを市場で売ることにより、安値で買い集めた現物のバスケットと、1%のプレミアムで取引されていたETFとの間の1%のサヤを抜いたことになるわけです。このようなサヤ抜きのトレードのことを、アービトラージと言います。

 この100銘柄1セットのポートフォリオとETFとの交換作業のことを「インカインド・トレード(in-kind trade)」と言います。In-kindとは「現物」とか「物々交換」の意味です。

 これは現金のやりとりを介さないバーター取引であることから、米国の税法上は課税対象ではありません。もっと言えば、キャピタルゲインは発生しないのです。