今週の日経平均は波乱含みのスタート

 先週末8月23日(金)の日経平均株価終値は2万710円でした。前週末終値(2万418円)からは292円高となり、週足ベースでは4週ぶりに上昇に転じています。

 先週は、いわゆる「ジャクソンホール会議」(米カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム)でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演を控え、様子見ムードが優勢の中、追加利下げ観測を背景にして比較的堅調な値動きだったと言えます。

 実際に、下の図1で日経平均の先週の値動きを振り返ってみても、ローソク足が上向きになっている5日移動平均線をおおむね維持している他、MACDもシグナルを上抜けるクロスになっているなど、チャートの形は前向きな姿勢が感じられるようになっていました。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年8月23日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 しかし、今週の株式市場は波乱含みのスタートになってしまいそうです。パウエル議長の講演内容は追加利下げに含みを持たせる内容で、米株市場も当初はプラスで反応していたのですが、その風向きを変えたのはやっぱりあの人、トランプ米大統領です。

 パウエル議長の講演について、ツイッター上で「FRBは相変わらず何もしていない」、「パウエル議長と習近平主席のどちらが米国の敵なのか」といった具合に批判的な態度を示した他、米企業に対しても、中国から事業を撤退させ、米国内での生産拡大を要請したり、中国の報復関税への対応を講じると述べるなど、米中関係についても刺激的な発言も飛び出してきました。

 これにより、米株市場は下落に転じ、NYダウ平均株価は前日比で623ドル安となっています。さらに、予告通り、中国への具体的な対応策も出てきました。その中身ですが、現行の制裁関税「第1~3弾」(約2,500億ドル分)について、10月1日よりその税率を25%から30%へ引き上げる他、9月1日発動予定の第4弾についても、当初の10%から15%に見直すというもので、米中間で制裁の応酬合戦の様相になってきています。

 また、先物取引市場でも、大阪取引所の終値が2万210円、CME(シカゴ)で2万135円となっているため、今週の日経平均は大幅安のスタートが予想されます。となると、目先の相場の行方を想定する際、堅調だった先週の値動きの影響を考えることはあまり役に立たず、週末に飛び込んできた不安のインパクトの方が重要になってきます。つまり、「株価水準的にはどこまで下げそうか?」「株価が反発していく見込みはあるのか?」がポイントになります。