長く働くのはカンタンじゃない現実。求められるスキルと健康
歳を取っても働きたい人が多い一方、高齢者を雇う企業側の目線は甘くはありません。
経済財政白書で資料に用いている内閣府「多様化する働き手に関する企業の意識調査」(2019年2月実施。 「企業における多様な人材の活躍」 に掲載)を見ると、高齢層(55歳~)の人手不足感は適正と回答した企業が6割を超えています。不足・やや不足している企業よりも、過剰・やや過剰と回答している企業が多く、企業は高齢層を持て余し気味のようです。
人手不足が叫ばれて久しいですが、高齢層に限ってみれば、引く手あまたという訳にはいきません。では、企業はどのような高齢者なら雇いたいのでしょうか?
同調査では、65歳以降も雇用したい資質を持つ者や雇用条件についても質問しています。変化の激しい時代を反映しているのか、幅広い人脈やこれまでの高い業績といった過去の栄光への評価は低く、今後、会社に利益をもたらしてくれるであろう、「高い専門的な技術を保有している」ことへの評価が最も高くなっています。
高い専門的な技術に次いで、「健康上支障がない」、「働く意思・意欲が高い」が上位です。日本は労働者の解雇が容易ではありませんし、労災が発生すると企業の評判に関わります。労務管理上の問題や職場の士気を懸念している面もあるでしょう。高齢層を雇う企業からは、元気に意欲的に働く姿が求められています。高い専門的な技術は現役時代の所得格差の一因ですが、高齢層では健康格差が所得格差に影響する部分も大きくなります。