米GEに不正会計疑惑、会計専門家が指摘 GEは反論
2019/8/16 日経新聞
【ニューヨーク=清水石珠実】米国の著名会計専門家が15日、ゼネラル・エレクトリック(GE)が巨額な損失を隠すために不正会計を行っているとの報告書を公表した。「(2001年に経営破綻した)エンロンよりも巨額の不正を働いている」と指摘したことで、同日の米株式市場では追加損失が膨らむとの懸念から同社株は急落、11%安で取引を終えた。GE側は疑惑を否定している。
GEの不正会計を指摘したのはハリー・マルコポロス氏で、リーマン・ショックをきっかけに発覚した史上最大規模の詐欺事件「マドフ事件」を告発したことで知られる。15日はGE株が一時15%超下落する場面もあった。
GEに関する報告書は175ページに上り、あるヘッジファンドと協力して7カ月かけて調査したという。発見できただけで不正額は380億ドル(約4兆円)に上るが、それも「氷山の一角にすぎない」と指摘した。特に介護保険事業で、保険の引当金に不正があると問題視した。
同日、米経済局CNBCに出演したマルコポロス氏は「(今回の不正会計摘発がGEの)経営破綻につながる可能性もある」と語った。
GE側は「高い基準にのっとって企業活動を行っている。マルコポロス氏の主張に根拠はない」との反論コメントを発表した。保険事業についても「十分な引当金を積んでいる」とした。
GE株が急落、財務諸表に問題ありとマドフ事件の告発者が指摘
(2019年8月16日 ブルームバーグ)
15日の米国株式市場で米GEが急落。ほぼ4年ぶりの大幅安となった。空売りを手がけるヘッジファンドと取引している投資家が、GEは財務問題を隠ぺいしていると告発したことで売りがかさんだ。GE側は「根拠がない」主張だと反論した。
ハリー・マルコポロス氏は、GEは保険部門の負債を過小報告しており、石油・ガスサービス企業ベーカー・ヒューズへの投資を正しく会計処理していないと主張している。同氏はかつて、バーニー・マドフ受刑囚による巨額ねずみ講が発覚する前から、同受刑囚の投資会社運営に問題があると指摘していたことで知られる。
マルコポロス氏は15日発表したリポートで、GE保険部門は直ちに準備金を現金で185億ドル(約1兆9600億円)積み増す必要があると指摘し、新たな会計ルールが導入された際には1,050億ドル相当の非現金費用を計上する必要があると主張した。
米株式市場でGE株価は一時15%超下落。下落幅が10%を超えた時点で空売り制限が発動した。GEは電子メールで、「GEについて直接の知識を持たない個人がこのように深刻で根拠のない主張をしたことに、当社では極めて深く失望している」と表明。「当社は最高水準の公正さをもって業務を遂行しており、財務報告の正確性に責任を持つ」と言明した。
これより先にGEの財務問題を報じた米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、マルコポロス氏はあるヘッジファンドとビジネスを手掛けており、GE株が下落することで利益を得られる。同氏はファンド名については明らかにしていない。
米著名投資家のポール・チューダーは、GEの社債が急落していること等、主要債権市場が不安定な状態にあるとして、「不動産と住宅ローン市場は2007年に我々をトラブルに巻き込んだが、次は社債市場になりそうだ。その結果として注意を払わなくてはならない何かが起きる」と述べている。
連銀の景気刺激策、ボトルに残っているのはあと1年分ほど
世界最大のヘッジファンドを運用するブリッジウォーター・アソシエーツ総帥レイ・ダリオがみている景気サイクルは凡人には分かりにくいものがあるが、ダリオが今後の相場についてどのような見通しを持っているのかが徐々に明らかになってきた。
ダリオ氏予想の米景気後退確率40%、中国は米債を武器にも-CNBC
(2019年8月16日 21:15 JST ブルームバーグ)
ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者、レイ・ダリオ氏は、米経済は悪化へ向かっており、2020年の大統領選挙前にリセッション(景気後退)に直面する確率が40%あるとの見方を示した。CNBCが15日、ダリオ氏のインタビューの内容を報じた。
その中でダリオ氏は、景気サイクルの現段階での利下げはそれほど効果的ではないかもしれないと述べ、景気浮揚を狙って各国が次々に自国通貨押し下げに動くかもしれないと付け加えた。今後3年には多くの通貨戦争が起こると予想した。
同氏はまた、中国が保有する米国債を貿易戦争の武器として使う可能性を排除しないとし、米国と中国が取る行動を予測するのは難しいと述べた。対立が長引くにつれ、米中両国は相互に「最大のダメージ」を与えようと画策し始めるリスクがあると警告した。