1995年ではなく1998年型か?

 もう一度、上表の「10年債利回り―3カ月物Tビル利回り」のチャートの1995年のところを見てください。

 実は、1995年には金利差は「0」にはなっていません。つまり、1995年の状況は現在ほど切羽詰まってはいなかったということです。だから、現在の状況はむしろ1998年に近いと捉えるべきかもしれません。

 1998年はロシアでルーブル危機があり、ヘッジファンドLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)が破綻した年です。また、1997年から1998年にかけて日本で次々に証券会社や銀行が経営危機に陥りました。つまり、米国の景気は良かったけれど、その他の国々は厳しい状況だったのです。

 今回も米国経済はまだしっかりしていますが、世界を見回すと中国やドイツは厳しい状況にあります。その意味では1998年と共通点が多いと言えるでしょう。

 なお、1998年は米国株を仕込むタイミングとしては良い買い場でした。だから「もうだめだ!」と性急に決めつけてしまうのはいまだ早いと思います。

 FRBが整然と0.25%刻みの利下げをあと2回程度行った後で、景気が持ち直すのであれば、ソフトランディングになる可能性も十分にあると言えるのです。