(3)金、円、スイスフランの安全資産トリオは同じではない

 世界がリスクオフのとき、避難先として買い求められるものとして「金、円、スイスフラン」の安全資産トリオが知られています(図1)。

 金は歴史的に信用が厚く、一定数の投資家層に好まれています。

 円とスイスフランは、経常黒字相当の外貨資産を積み上げた国の通貨であり、世界の景況市況悪化で国際金融が滞っても、資金繰りに困らない優位性があるのです。

 ただ、スイスは欧州経済圏に隣接し、フランはユーロへの連動性を強めています。リスクオフ環境で、フランが対ユーロで強くなっても、対ドルでユーロが安ければフランも対ドルで値下がりする展開が起こりえます。

 今年5月以降、ユーロは対ドルで中立的でしたが、7月以降の軟調がフランの対ドル上昇をいくぶん抑え気味になりました。この点でリスクオフ時に対ドルで最も分かりやすく上昇するのは、前段(2)で見た円です。ドル/円が最も明快な景気サイクル指標であることを有効活用しましょう。

図1:主要通貨と金の5月以降の対ドル推移

出所:Bloomberg Finance L.P.