定年後にかかる物件のメンテナンス費用に要注意

 もう1つ見落としがちなことが、定年後にかかる物件のメンテナンス費用です。図表2のように不動産投資を始める際、サラリーマンであれば比較的融資が受けやすい環境といえますが、サラリーマンを退職した後に融資を受けることは、非常に難しい現状があります。

 アパートなどのメンテナンス費用が多額にかかる物件を所有している場合、定年後に数千万円規模の修繕を借り入れですることは難しいと言えるでしょう。なぜなら、リフォーム費用を借りることが、サラリーマン時代に比べ格段に難しくなるからです。仮に融資が受けられずにリフォームをするとしても、自分が持っている貯金の範囲でしかできないため、入居者が満足するレベルの物件状態を維持管理するのは難しいかもしれません。そうなった場合、家賃収入が一番必要な80代、90代に満足な家賃収入が得られない可能性があります。

 一方ワンルームマンションの場合、オーナーが管理する範囲は部屋の中だけで、仮にリフォームが必要になった場合でも貯金の範囲で、入居者の満足を得るグレードまでリフォームすることが可能です。晩年に家賃収入を確保できれば介護サービスも受けられ、周囲に迷惑をかけずに生活することもできるでしょう。

 収益面だけではなく、家族の幸せや定年後の物件運用を含めてトータルな目標設定をすることが、成功への第一歩になります。収益の目標達成と運用面での手軽さ、堅実さという両面を計画していくことが必要です。

[図表2]

(仲宗根 和徳/株式会社和不動産 代表取締役)

※この記事は2017年6月28日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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