売買代金ランキング(5銘柄)

1 そーせい(4565・東証マザーズ)

 16日の急騰で、年初来高値を大幅に更新。きっかけは、ロシュ・グループのジェネンテック社と複数ターゲットを対象にした共同研究およびライセンスに関する提携契約の締結発表でした。この提携で、契約一時金と初期マイルストン合計で2,600万米ドルを受領。その先の進捗に応じ、総額10億米ドルを超えるマイルストンを受けられる権利も付いているようです。

 これをザラバ中(午前10時)に発表したことで、同日のそーせい株は一時ストップ高水準まで急伸(終値ベースでは+15%)。新興株屈指の大型・高流動性銘柄ですが、今年に入って10%以上の上昇率になった日が計5回も!

 大手製薬メーカーへライセンスを供与し、開発の進展に応じてマイルストンも得られる…日本企業でこのビジネスモデルを構築しているのは東証1部のペプチドリームとそーせいの2社だけでしょう。そのペプチドリームが時価総額約7,700億円で、そーせいは未だ2,000億円にも届いていません。早く東証1部に昇格し、その後に機関投資家の買いをどれだけ集められるか? それ次第ですね。

2 カルナバイオ(4572・ジャスダック)

 米ギリアド・サイエンシズとの提携発表をきっかけに、6月末まで4日連続でストップ高買い気配。7月は、月初1日に全株一致(発表直前6月24日終値912円→7月1日始値2,905円)したところから始まりました。米ギリアドとの提携を受け、11日に一部国内証券が目標株価を1,800円から4,500円へ大幅に引き上げ。これにも反応して再動意、ここで付けた3,300円が年初来高値となっています。

 最高潮にあったこの日の引け後、同社がMSワラント(行使価格修正条項付きの新株予約権)の発行で、約45億円を調達すると発表。最大希薄化率で約15%に及び、翌日から急落に転じました。“バイオ株には夢がある”わけですが、“バイオ株にはこれもある”…。

 米ギリアドからの契約一時金で約21億円を手にするわけで、資金調達の必要性が当面は低いと想定していた投資家も多かったはず。まさにハシゴを外された格好に。

3 UUUM(3990・東証マザーズ)

 株価は低調でしたが、12日に発表した決算内容を好感した買いで再浮上した7月でした。前19年5月期の純利益は、従来予想の6.6億円を大きく上回る8.9億円で着地(伸び率は前期比2.2倍!)。同社所属「ユーチューバー」の動画再生回数が想定以上に伸びています。

 月後半は、話半分だとは思いますが、こんな理由で買われたとの指摘も。吉本興業で勃発したお家騒動で、「吉本興業を離れるタレントが、UUUMに所属することも増えるのではないかといった思惑で買われている」と…ほんまかいな。

4 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 月前半は下落、月後半にリカバー、終わってみると月間では少し上昇な1カ月でした。月前半は、米系証券の投資判断引き下げ(「イコールウエート」→「アンダーウエート」、目標株価3,500円→2,500円)などもあり、さえない展開。

 月後半に反転したきっかけは、「19年6月期の大幅赤字」確認でした。19日付の日経朝刊で、19年6月期の最終損益は120億円程度の赤字と報道。前の期の70億円より赤字幅拡大ながら、出尽くし感で買われる反応に。25日の会社発表も121.5億円の赤字予想で、これも当然売り材料にならず…。

 アナリストによる最終損益の予想の平均値(コンセンサス)は今20年6月期も142億円の赤字となっています。100億円規模の赤字は今期も織り込み済みの様子。大幅赤字も想定内で、それ自体がもはや売り材料にはならない株という意味では決算に強い株なのかも?

5 ロゼッタ(6182・東証マザーズ)

 7月に決算発表した新興株の中では、文句なしで好決算銘柄側に振り分けられるはずです。12日に発表した第1四半期は、純利益が前年同期比で約3倍の1.1億円。人工知能を使った自動翻訳サービス「T-400」の販売好調が背景です。一部国内証券でも、「足元での新規受注急増がポジティブな印象」とレポートで指摘していました。決算発表翌日の16日は、一時ストップ高するほど好感されていました。

 ただ、この上げ分も18日以降の理由なき急落で全部失い、月間では7%安に。このパターンもあるから、日本の新興株投資は難しい…。株価が高い新興株は、(AI関連など)テーマ性やそこから膨らませた成長ストーリーから、予想PER(株価収益率)でゆうに100倍を超えた状態の銘柄がゴロゴロしています。また、利益の伸び率が高いといっても、利益の絶対額が非常に小さい企業もゴロゴロしています。

 こうした銘柄を中小型株ファンドが大量に買って長期保有できるとも思えず、そうなるとメイン株主層は個人投資家でしょう。いくら好業績でも、そうした条件に当てはまる銘柄の場合、四半期決算ですぐ利確されたり、マザーズ市場全体の地合い悪化に巻き込まれたりしやすいとい言えます。