マネー研修で伝えるべき4点

 企業の社員向けのマネー・リテラシーの研修では何を伝えたらいいか。個々の社員によって、金融知識のレベルや、抱えているお金の問題に差があるので、最適な内容を決めることは、厳密には簡単ではないが、最大公約数的に伝えなければならない内容は以下の4点だろう。

【1】「自分の数字」に基づいて(世間の平均等に基づく数字ではなく)、自分に適切な貯蓄額(現役時代)および資産の取崩額(老後)を計算する方法

 大まかであっても、自分にとってどの程度の貯蓄が必要なのかを、人生設計と自分の数字に基づいて、自分で計算できることが必要である。この計算ができないと、経済的な人生設計を適切に行うことが難しい。

 計算方法自体は難しくないので、丁寧に説明したい。

 また、「資産寿命」を延ばすために適切な手段は、リスク資産運用による収益獲得を目指すことではなく、余裕を持って計画的に資産を取り崩すことである。

【2】適切な額に支出をコントロールするために必要な家計管理の方法。

 支出のコントロール(多くは「節約」)は、
  (1)効果が確実で
  (2)ストレスが小さく
  (3)実害が小さい

 方法で行うといい。
 具体的には、固定費の大きなものから見直すといい場合が多い。

【3】他人に頼らなくてもできる資産運用の簡単で適切な方法

 運用については、いったん正しい方法を理解してしまうと、他人を頼る必要なない。内外株式のインデックスファンドと個人向け国債を中心とした、誰にでも当てはめられる運用の簡便法を伝えるといい。

【4】金融機関・金融専門家を警戒すべきことの正しい理解

 金融関係のビジネスの構造を知って、金融機関や金融の専門家を、なぜ・どのように警戒すべきなのかを知っておくことが大切だ。

 社員が上記4点を適切に理解することの効果は大きい。