iDeCo利用で所得税&住民税が控除される

 iDeCoやつみたてNISAは、非課税で運用できるところも大きなポイントだ。増えた資産を受け取る際に税制優遇が適用になったり、税金がかからずにそのまま受け取れたりする。

「iDeCoは、所得税や住民税が控除されるメリットもあるので、55歳を超えてから加入する人もいます。一般的に年収400万円とすると、所得税率は5%なので、もしiDeCoに毎月2万円拠出したら、年間24万円の5%が所得税から控除され、1万2000円戻ってくることになります。住民税は年収にかかわらず税率は10%。24万円の10%で2万4000円なので、所得税と合計すると、年間3万6000円の税金が戻ってきます」

 拠出している金額が増えれば、その分控除額も上がり、年収500万円を超えていれば所得税率が10%になることもある。年収が高く、拠出額が多い人ほど、iDeCoの恩恵を受けやすいのだ。掛け金を変更するなどして、控除された分を、さらにiDeCoに拠出してもいいだろう。

「生活費に余裕がある人は、iDeCoとつみたてNISAを併用してもいいでしょう。年収が多い人は、iDeCoに多めに入れた方が税制優遇のメリットが大きくなります。逆に、会社員で年収が少ない人は、iDeCoよりは年間拠出の上限額が大きいつみたてNISAに寄せた方がいいかもしれません」

自助努力で資産を確保するための制度

 現状、iDeCoは60歳まで、つみたてNISAは最大20年間という運用期限が設けられているが、制度が変わる可能性は大いにあるという。

「近い将来、年金受給開始年齢を70歳超まで引き上げられる可能性もありますし、iDeCoも65歳ぐらいまでできるようになると思います。つみたてNISAも、延長されるかもしれません。イギリスにもNISA制度がありますが、運用期限が無期限なので、日本でも検討してほしいですね」

 急激に少子高齢化が進んでいる今、年金額が上がることはほぼ期待できず、医療費なども自己負担の割合は増していきそうだ。その中で国が用意したものが、iDeCoやつみたてNISAといった制度なのだ。

「iDeCoやNISAには『税制優遇の箱を作るから、自助努力で資金を確保してください』という、国からのメッセージが込められているんです。50代からでも遅くはないので、資産運用を考えてみてください」

 自己負担の割合が増していくであろう老後を見据え、ただ貯めるのではなく、資産を増やす方法を検討した方がよさそうだ。

(有竹亮介/verb)

※この記事は2019年3月15日に東証マネ部!サイトで公開されたものです。

記事提供元