6月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 米中摩擦の蒸し返しでリスクオフ全開だった5月から一変、6月はグローバルでリバーサルが発生しました。6月に入り、FRBパウエル議長が講演の場で利下げを示唆。ここから7月利下げを織り込むような形で、米長期金利の低下が進行します。さらに、G20大阪サミットの場で米中首脳会談が開かれることが決まると、米中摩擦をネタにしたショートポジションの巻き戻しも加速。『利下げ+米中紛争の停戦』の合わせ技で、「米株がまたバブル作りにいってもおかしくない」なんて声も。

 6月のNYダウの月間騰落率は+7.2%と、月間ベースでは15年10月以来の急上昇に。このビッグウェーブに乗り遅れたのが、我らが日本株。日経平均株価は同+3.3%、TOPIX(東証株価指数)は同+2.6%でした。米中紛争の停戦期待はポジティブも、利下げ期待で進んだ為替の円高がネガティブ。下げるときは米中並みかそれ以上、戻すときは米中以下…。

 さらに冴えなかったのが、新興株市場でした。ことマザーズ銘柄でいえば、為替がどうなろうが、米中関係が冷え込もうが、根本的には関係ない企業だらけのはずですが…東証マザーズ指数の月間騰落率は▲1.1%と、3カ月連続の下落。日経ジャスダック平均は同+2.0%でしたが、日経平均株価などをアンダーパフォームしました。

 マザーズ指数でいえば、6月第2週にかけて持ち直したものの、6月第3週に地合いが悪化。この週の出来事では、19日にマザーズ案件の今年の目玉、名刺管理クラウドサービスのSansan(4443)IPOがありました。公開規模約390億円のマザーズとしては久々の大型IPO。新興株市場の流動性が低下している中での消化不良に警戒されましたが、Sansanの初値は公開価格を5.8%上回る好発進を切ります。セカンダリーでの値動きの良さに短期資金が群がった一方、直前まで買われていた人気株や直近IPO銘柄を売ってSansanにシフトするような動きも活発化。マザーズ指数には7月末まで採用されないSansanが輝いても、その他採用銘柄に売り圧力がかかっては指数には実質マイナスということで…。