【穀物相場】 “遅れた作付け完了”がリスクに?

 穀物相場についても、先週、2019年の生産量を占う上で重要なデータが公表されました。世界屈指の穀物生産国である米国における、とうもろこしと大豆の作付けの進捗率、および発芽率を示すデータです。

 下図から、とうもろこしと大豆の作付け進捗率の推移です。2019年はともに前年よりも、過去10年平均よりも、作付けの進捗が遅れたことが分かります。遅れについては以前のレポート「2月の大雪と肉食人口増で、2019年のとうもろこし相場に異変!?」をご参照ください。

 とうもろこしの作付け進捗については、2019年6月23日時点で96%、大豆が2019年6月30日時点で92%です。過去10年平均では、6月3日頃に94.9%、6月10日頃に97.0%、大豆は6月17日頃に91.9%でした。

 過去10年平均を平年とすれば、2019年は平年に比べてとうもろこしはおよそ2週間遅れ、大豆もおよそ2週間遅れで作付けが進捗したことになります。作付けの遅れはその年の生産量が想定を下回る可能性を高め、穀物価格の上昇要因になり得ます。

 

 作付けの遅れに加え、筆者が懸念しているのは、作付けが遅れたことで、玉突き的に発生した(している)、発芽率の遅れです。

 

 発芽率については、とうもろこしが2019年6月30日時点で94%、大豆が2019年6月30日時点で83%です。過去10年平均では、とうもろこしは6月10日頃に92.0%、6月17日頃に96.3%、大豆は6月17日頃に82.8%に達しています。

 過去10年平均を平年とすれば、2019年は平年に比べてとうもろこしは作付け同様、およそ2週間遅れで発芽が進捗したことになります。大豆についても発芽率の遅れはおよそ2週間ですが、今後、挽回できるかが懸念されます。

 発芽の遅れは品質悪化につながり、単収(一定面積における生産量)を下げ、収穫放棄の増加、引いては今年の最終的な生産量を低下させる要因になります。

 今回は、先週公表された、OPEC総会での決定事項および穀物の作付け・発芽率などの重要データについて書きました。次週以降、穀物について今年の生産量の命運を握ると言っても過言ではない、“作柄の良し悪し”について詳細を書きます。

 

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