「どうせ戻るはずだから」は都合の良い言い訳

 もちろん、一時的にそのような塩漬け株ばかりの状況になったとしても、その後株価が反発に転じれば、含み損は解消できるかもしれません。

 でも、株価が値下がりしている時には手を出さず、株価が反発したら買うようにすれば、今買うよりもっと安い株価で買うことができます。その方がトータルで見ると利益が大きくなる可能性が高くなります。

 現に、2012年11月から始まったアベノミクス相場、特に2013年前半までの半年間は、非常に利益を得やすい状況にありました。しかし多くの個人投資家は、上昇の初期段階で、すでに含み損を抱えた塩漬け株ばかりを保有していたため、資金を投入することができず株価の大きな上昇の恩恵を受けることができなかったのです。

 そしてより怖いのは、株価が大きく下落することで、実体の経済も悪化してしまうことです。そうなると、もともと割安株だった銘柄の業績も落ち込んで割安株ではなくなってしまいます。実際、2008年のリーマン・ショックの時は、そうした現象が随所に見られました。

 割安株の業績が悪化し、その後業績が回復しなければ、株価も低迷して買値まで戻らず、いつまでも塩漬け株を抱えてしまうことになるでしょう。

 なので、割安だと思って買った株を、株価が値下がりしても「どうせそのうち戻るはずだから」と保有を続けるのは、非常にリスクの高い行為なのです。