ホルムズ海峡事件、重要データの公表など、トピックが重なった先週を振り返る

 ホルムズ海峡砲撃事件は多数のメディアで報じられています。日本を始めとしたアジアの石油消費大国は、中東から多くの石油を輸入しているため、エネルギー供給が脅かされるのではないか? という不安心理が高まりやすくなっています。

 現状、今回の事件が原油相場を押し上げる大きな要因になっていないのは、冒頭で述べたように中東情勢だけが原油相場の変動要因ではないためです。

 現在の原油相場は、来週に迫った大イベントに関わるさまざまなデータを材料視していると考えられます。以下は先週(6月9日週)に起きた主な出来事と発表データの概要です。

図:6月9日の週に起きた出来事・発表された統計

出所:各種データ元より筆者作成

 世界の石油在庫、米国の原油在庫が増加していること、米国の原油生産量と減産に参加しているOPEC(石油輸出国機構)11カ国の原油生産量が増加したことが明らかになっています。これらは供給圧力となり、原油相場には下落圧力として作用しているとみられます。

 逆に、ホルムズ海峡事件による中東からの供給減少懸念、OPECのうち減産に参加していない3カ国の原油生産量が減少したこと、OPECプラスの5月の減産順守率が高水準となったことは上昇要因として作用しているとみられます。

 特に先週公表された各種データは、来週(6月25~26日)の産油国の会合を控え、OPECプラスの減産が継続するか否かを左右する重要な材料になるとみられます。