国内市場でも「連続増配銘柄」への分散投資に注目

 6月7日付け本レポート「平均利回り4.8%! 米国の配当貴族を5万円未満で買う」では、米国市場で25年以上連続増配してきた「配当貴族銘柄」(57銘柄)を予想配当利回りの降順で上位7銘柄(平均利回り:4.8%)をご紹介しました。

 国内市場でも近年は「株主還元を意識した経営」を重視する企業に対する評価が高まっています。とは言っても、「配当貴族」(25年以上連続増配)の名に値する国内銘柄は花王(4452)しかありません。図表3では、東証上場銘柄で注目したい「連続増配銘柄」(10銘柄)を任意に選んだポートフォリオ(参考情報)をご紹介します。

 本銘柄群の特徴は、景気のサイクル、貿易摩擦の動向、為替変動などから比較的影響を受けにくい「ディフェンシブ(安定成長)銘柄」を中心にしていることです。可能な限り業種(セクター)分散も心掛けました。予想平均配当利回りは約2.5%で、市場平均(TOPIX)の予想平均配当利回り(2.4%)と同程度です。10銘柄の「年初来騰落率」の平均(+7.4%)は、TOPIXの同騰落率(+4.0%)を上回っています(12日)。

 今後も相場全体としては、貿易摩擦懸念を含むリスクに直面する場面が多々警戒され、株価が短期的に乱高下する可能性があります。そうした短期的な相場波乱を乗り越え、株式投資の原点とされる「配当の安定成長」に注目する「連続増配を記録してきた銘柄への長期分散投資」に注目したいと思います。

<図表3>注目したい東証上場の「連続増配銘柄」<参考情報>

コード 銘柄名 連続増配
年数
直近
株価
年初来
騰落率
予想
配当
予想配当
利回り
4452 花王 29 8,477.0 4.0 130.65 1.5
7466 SPK 21 2,388.0 5.4 70.00 2.9
4967 小林製薬 20 8,070.0 8.0 71.25 0.9
8593 三菱UFJリース 20 556.0 5.3 22.57 4.1
4732 ユー・エス・エス 19 2,115.0 14.4 51.96 2.5
9433 KDDI 17 2,718.0 3.6 110.50 4.1
8113 ユニ・チャーム 17 3,356.0 -5.7 27.31 0.8
6869 シスメックス 17 7,757.0 47.0 71.81 0.9
2914 日本たばこ産業 15 2,536.0 -3.1 154.47 6.1
9843 ニトリホールディングス 15 13,110.0 -4.5 108.10 0.8
連続増配10銘柄の算術平均 7.4 - 2.5
TOPIX (東証株価指数)   1,554.22 4.0 37.95 2.4
*単位 連続増配:年(期)数 直近株価:円 年初来騰落率:% 予想配当:円 予想配当利回り:%
上記は参考情報であり、特定の銘柄を推奨するものではありません。
*東証の連続増配銘柄から任意で10銘柄を選び、連続増配年(期)数の降順に示しました。
*予想配当利回りは、Bloombergの集計による市場予想平均です。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(6月12日)

 

▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー

2019年6月7日: 平均利回り4.8%! 米国の配当貴族を5万円未満で買う
2019年5月31日: 日経平均の底入れ時期は?令和元年の有望銘柄は?
2019年5月24日: インド市場の優勢に注目!インド株式ETFや関連銘柄は?