「一定数のファミリーマンションの混在」が義務に

【き】規制あり 都心ワンルーム 価値あげる

「需要」と「供給」、値段を決める際の決め手となるものです。通常、「需要」があり「供給」が抑えられていれば価値は上がり、「需要」がなく「供給」が過多であれば価値は下がります。当然、不動産市場においても、この法則は当てはまるのです。都心の中古ワンルームマンションの資産価値が維持されているのは、入居「需要」があるのに新築物件の「供給」は抑えられていることが理由になります。

 東京都の世帯数は、下記の図表1のように年々増加傾向で、増加しているほとんどの世帯は単身世帯です。しかし、「ワンルームマンションの建築が次々と行われているか?」というと、そうではありません。

 なぜなら、ワンルームマンションは2007年頃に23区すべての区で、条例もしくは指導要綱で建築する際の制限が設けられた通称「ワンルームマンション規制」によって、ワンルームマンション建築の際に多くの区で「一定数のファミリーマンションを混在させなければならない」という義務が課せられてしまったからです。

 図表1をご覧ください。規制がない時は、狭い土地に高い建物(通称ペンシルマンション)が建築されていたのですが、規制ができてファミリーマンションを混在させなければならなくなると、それなりに広い用地が必要になり23区でも外側の区に建築されるようになりました。

[図表1]都内は一人暮らしが半数近くに

出典:「東京都世帯数の予測」より(2014年3月東京都発表)

 バブル崩壊後、地価の下落に伴い、都心立地でインカムゲインを得るスタイルで支持を集めてきたマンション投資ですが、規制ができたことにより都心立地での供給が困難になったのです。規制がなければ、古い雑居ビルや古い木造住宅を取り壊し、新しくワンルームマンションを建築できたのですが、それなりに広い用地が必要となれば、都心での用地取得は困難になります。そのため、ワンルームマンションの建築は、23区でも外側に広がってきたのです。