新元号「令和」が2019年5月1日にスタートして早くも1カ月。超大型連休があったこともあり、日本市場の令和初日の営業日は5月8日(火)で、月末の5月31日(金)までの営業日数は19日でした(米国市場の5月の営業日数は24日)。

 この1カ月間、各市場、各銘柄はどのような値動きだったのでしょうか。ここで、さまざまな意味で「激動」だった、それぞれの市場の値動きを振り返ってみます。

景気に敏感な原油、金属は、株と同様マイナス圏に

 令和スタートから1カ月間、振り返ってみれば、貿易戦争が激化していることを報じるニュースを見ない日はありませんでした。

 4月まで鎮静化の兆しが見られていた米国と中国の貿易戦争において、激化が目立ちました。再び関税合戦が始まったこと、米国が中国個別企業製品の不買運動を始めたこと、その報復で中国が米国に対してレアアースの「不売」を示唆といったことなどが続いています。

 加えて先週、米国がメキシコからの輸入品目の関税を引き上げるなどの動きがありました。この1カ月間、貿易戦争の範囲が米国、中国からメキシコにも拡大したと言えます。

 令和スタートからの1カ月間は、激化の一途をたどった貿易戦争の流れを受け、景気の先行指標である主要な株価指数や、景気動向に敏感なコモディティ銘柄の下落が目立ちました。

 ただ、一方で、景気の動向よりも、作付けの進捗や、作柄の状況が強く材料視される穀物銘柄では、株価指数や景気動向に敏感なコモディティ銘柄とは一線を画する動きになりました。

 1カ月間の主要な株価指数やコモディティ銘柄の騰落率は以下のとおりです。

図1:令和初月の各種市場の騰落率(2019年5月1日時点と、5月31日時点の比較)

出所: CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)などのデータより筆者作成

 この間、主要な株価指数であるNYダウ平均株価は、貿易戦争の激化を受けて下落しました。また、貿易戦争の激化による消費減少懸念や米国内の供給増加圧力によって、原油相場は大幅下落となりました。

 一方、金はやや上昇、そしてトウモロコシは大幅上昇となりました。貿易戦争が激化して景気が減速すれば、トウモロコシの主要な用途であり、食肉文化を支える重要な役割を担っている「家畜のエサ」の消費が減少する懸念はあります。しかし、価格が突出して上昇している様子から、現在のトウモロコシ相場には、貿易戦争のマイナス要素を打ち消すだけのプラス要素があることが分かります。このプラス要素は、なんなのでしょうか。