不安定な全体相場の中で、堅調な銘柄の流れに乗る

 ネガティブな出来事を株式市場が織り込むまでの動きを完璧に予想することは難しいのが実情です。その主な理由は「状況は変化する」ということです。

 足元の「米中摩擦」についても、トランプ米大統領の発言や中国の声明などによって状況が大きく変化していく可能性が高いことは言うまでもありません。必ず悪化するとも限らないため、状況が好転し株価が反発し始めると「悲観論」は外れになってしまいます。全体相場が軟調な局面では悲観論が台頭するのが通常で、今回もそうなっていますが、この先もその見方が正解となる保証はないのです。

 経済指標にしても「予想より悪化した」「予想より好転した」ということが頻繁に見られます。いかに事前に予想することが難しいかを表すような例です。今後、AI(人工知能)などが発達しても、想定外の出来事によって事前の予想が外れることはやはり起こると思われます。

 また株式投資は、機関投資家に比べて個人投資家は枠にとらわれず、格段に自由に行うことができると言えます。この特性を生かすことができる銘柄選択として「現状の中で堅調な銘柄の流れに乗る」という考え方があります。

 値下がり銘柄が多い中にあっても、必ず値上がりしている銘柄は存在します。それらは現状(米中摩擦)に全体相場が翻弄(ほんろう)される中で買われていることから「今の環境が追い風になっている」あるいは「需給が良い」のではないかと考えられます。

 もちろん、注意点もあります。それらの銘柄は「現状」で株価が上昇していることから、局面が変化すると、株価の動きも変化する可能性があるということです。このことを頭に置いて、短期投資に徹すれば、変化にも対応できるでしょう。全体相場の上値が重いことは決して忘れてはいけません。

 東京市場を代表する銘柄の中にも、堅調な動きを継続しているものがあります。「 ファーストリテイリング(9983・東証1部) 」です。 

・ファーストリテイリングの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日) 

 アジアでの成長やEC(電子商取引)の加速、IT投資による利益率上昇が期待されているようですが、10連休後、多くの主力株が下落する中でこの銘柄がここまで上昇していることに不思議さを感じるのが正直なところです。しかし、ファーストリテイリング株を保有している投資家は10連休後の波乱局面でもニンマリとしていることでしょう。

 このように現在の相場環境が追い風になっている銘柄、「継続高銘柄」と「急反発銘柄」の両面から、10万円で投資可能な銘柄を取り上げます。