TOPIXの動きは、楽観シナリオの裏で鳴く「炭鉱のカナリア」?

 つまり、日米の株価指数について、今週はその注目点が共通しているわけですが、株価水準についても見ていきたいと思います。比較対象は、「昨年末の下げ幅に対する戻りの水準」です。

 NYダウは昨年末の下げ幅の9割以上を戻した後、下げ幅の76.4%水準のところに位置しています(下の図4)。

■(図4)NYダウ(日足)の動き その2(2019年5月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 一方、日経平均については、昨年末の下げ幅の61.8%戻しを達成した後に失速し、38.2%戻しのところで下げ止まって、再び50%戻しをうかがおうとしているところに位置しています(下の図5)。

■(図5)日経平均(日足)の動き その2(2019年5月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 さらに、TOPIX(東証株価指数)についても見ていきます。こちらは昨年末の下げ幅の38.2%から50%戻しの範囲内でもみ合いが続いた後、足元では23.6%戻しのところまで下げ幅を拡大する場面がありました(下の図6)。

■(図6)TOPIX(日足)の動き(2019年5月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 以上のように、下落幅に対する株価位置でNYダウ、日経平均、TOPIXを比べると、株価水準にかなりの温度差があります。

 日本株の戻りの鈍さに対する指摘は今に始まったわけではありませんが、特に最近のTOPIXについては、年初の水準まで株価が下落していたことや、日経平均とNYダウ共通の注目点である75日移動平均線についても、TOPIXについては25日移動平均線との「デッドクロス」実現が視野に入っていて、かなり状況が悪くなっています。

 そのため、TOPIXが単純に出遅れているというだけでなく、NYダウや日経平均が描く楽観シナリオの裏で鳴いている「炭鉱のカナリア」として悲観シナリオに抑えられている可能性があり、今後はTOPIXが堅調さを見せられるかが相場安定のバロメーターとして意識されるのかもしれません。