長期化する貿易戦争。投機筋は身動きを取れない?

 まず、5月14日の朝方、トランプ米大統領が中国との貿易協議について「われわれはそれが成功かどうか、約3~4週間以内に知らせることになるだろう」とホワイトハウスで発言。これを理由に、東京時間にかなり買い戻しが入り、下げ幅を縮めました。

 USTRによると、第4弾の制裁関税案に関しては、6月17~24日でパブリックヒアリングを行い、反対意見を受け付けるようです。トランプ米大統領が言う「約3~4週間以内」は、このパブリックヒアリングが始まる時期。その後に、28日から大阪でG20(先進20カ国・地域)首脳会議が開催され、ここで中国の習近平(シー・ジン・ピン)国家主席とトップ会談をするとの報道もあります(トランプ大統領は大阪に来ないという説もあるようですが)。 

 これだけ考えても、4週間で道筋が見えるとも言えませんし、「6週間くらいは必要じゃないか?」とかツッコミも入りそうです。ここで決裂してしまうと、第4弾の発動時期が7月以降で設定されます。そもそもトランプの「4週間で~」も、今年4月、中国の劉鶴(リウ・ホー)副首相と会談した際、「今後4週間で方向性が分かるだろう」とすでに発言していました。いずれにしても今回の話はかなり長期戦覚悟と言えるわけです。

 株式市場(マーケット)の目線で言えば、トランプ氏や政権幹部の発言、中国側の動向に翻弄(ほんろう)される期間が長いということ。ゴールがよく分からないだけに「貿易摩擦オンならリスクオフ/貿易摩擦オフならリスクオン」という不毛な時間が結構続くということです。

 ここが5月入ってすぐの貿易摩擦トレードと違う点です。

 バリバリの売り方にとっても、ターゲットが決められないから、ここから売るのもリスクがあるわけです。第3弾の発動は「5月10日」と予告されていましたので、5月10日ターゲットの短期ショートで攻めることができます。第4弾の詳細発表も「5月13日」と予告されていましたので、そこ目がけた超短期ショートでいいわけです。

 しかし今回は、ターゲットとする日があいまい、かつ、かなり先。そこまで今のテンションで売り乗せが続くとも考えにくく、どこかで利益確定を入れる向きがあると、ポーンとリバウンドするリスクも売り方にはあります。