日米の通商会合、中国の経済指標発表の影響に注意

 とはいえ、今週は市場の楽観ムードに水を差すかもしれない伏兵も待ち構えています。具体的には日米間の閣僚級の通商会合(TAG:物品貿易協定)が週初の15日(月)~16日(火)にかけて行われます。先日、トランプ米大統領がEU(欧州連合)からの輸入品に関税を課す方針を示したばかりですので、日本に対しても要求のハードルを上げたり、要求を通すために圧力をかけてくる可能性には注意が必要です。

 また、17日(水)には中国で1-3月期のGDP(国内総生産)をはじめ、小売売上高や工業生産、固定資産投資など、3月の経済指標がまとめてドンと発表されます。最近の国内外の株式市場は中国経済の底打ち感と持ち直し期待で上昇してきただけに、実体経済の状況も確認したいところです。これまでは、中国経済減速に対して「底打ち感を与える材料」を好感してきましたが、今後は次第に「底打ちから回復の強さ」が問われることになります。いわゆるV字回復なのか、緩やかに回復するのか、それとも底打ちしたものの低迷が続いてしまうのかなど、中国経済の見極めはここからが本番です。

 逆を言えば、これらのイベントを無難に通過できれば、さらなる株価上昇の展開も期待できるわけです。来週は国内10連休前で動きづらくなることも予想されるため、今週のうちに「行けるところまで行ってしまえ」と、思わぬ上昇を見せることがあるかもしれません。その際には前回も紹介したエンベロープの+3%や+6%の線が目安の参考として意識されそうです。

■(図3)日経平均のエンベロープ(25日移動平均線を基準)(2019年4月12日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 そのため、基本的には強気スタンスで良いのですが、前回も指摘した通り、下落に転じた時は下げのピッチが速くなる状況に変わりはないため、深追いには要注意で、引き際の潔さも試される週になると思われます。