下記の図表をご覧ください。仮に、売主が8000万円で売りたい物件があったとします。もし、金融機関から頭金3割を要求されたら、買主は頭金として2400万円を用意することが必要です。2400万円という頭金は、一般のサラリーマンが簡単に用意できる金額ではありません。そのため、この話は破談になってしまいます。そして、売主は売れる価格まで、売値を下げる必要があるのです。

[図表]融資が厳しくなると価格の高い物件の取引は減る

 

融資条件が緩和され、流通も活発な「1Rマンション」

 一方で、ワンルームマンションであれば法定耐用年数も47年間あり、次の購入者が収益を得られる期間も長期に渡るため、頭金が「0円」でも融資を実行してくれる金融機関もあります。2018年5月からは、ワンルームマンションに対して、最長45年の融資を実行する商品も誕生しました。このことから、一般的には厳しくなりつつある融資ですが、ワンルームに対しての融資は緩和傾向にあると言えます。もし仮に頭金が3割必要になっても、600万円程の金額であれば数千万円の頭金が必要な取引に比べ、払える人が増えるのです。

 つまり、次の買主が買いやすい環境というのは、不動産の売買に大きな影響を与えます。そのため、次の買主が買いやすい中古のワンルームマンションは流通が活発で、2016年の首都圏のワンルームマンション流通件数は、8万2595件もの取引がありました。これは、15年前の取引数の約12倍の取引数なのです。

(仲宗根 和徳/株式会社和不動産 代表取締役)

※この記事は2018年9月26日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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