4月1日~5日 原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は続伸。年初来高値更新から利食い売りに押される場面も見られたが、需給引き締まりへの見方から底堅く推移した。WTI期近5月限は一時63.34ドルまで上昇、期近ベースとしては約5ヶ月ぶりの高値を付ける場面も見られた。

 米国の原油在庫の予想外の増加が重石となり、一旦利益を確定する動きが強まる場面があった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は減少予想に反して急増した。輸入水準は依然として低位で推移しているが前週の統計からは増加、生産量も増加した。一方、製油所への投入量は小幅に減少し、輸出量も減ったため、在庫は積み上がる格好となった。また、WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫も2週連続で増加。これを受けて市場は売り反応した。しかし、需要期入りを控えているガソリンの在庫が予想以上に減少し、ディスティレート在庫も同じく予想を上回る減少となったため、売りの勢いは限られた。

 米原油在庫の積み増しはあったものの、他の需給要因は強気の内容が多く、下値を支えられている。ロイター調査によると、3月の石油輸出国機構(OPEC)の産油量は日量3040万バレルと前月から減少した。生産水準としては2015年以来の低さ。また、ブルームバーグ調査でも、OPEC産油量は4ヶ月連続で減少したという。ともにサウジアラビアの減産が大きかったことが減少の主たる要因。イランやベネズエラの減産もあり、OPEC加盟国全体としては合意目標を超える水準での減産が履行されていることが明らかとなった。

 イランやベネズエラに関しては、さらなる減産が懸念されている。米国の制裁が強化されるとの見方が強い。前の週に米大統領補佐官が、ベネズエラと取引する第三国の企業に対して制裁発動する可能性について言及。これに続いて米政府高官は1日、イラン産の禁輸措置の適用除外を中止できると述べた。ベネズエラのマドゥロ政権に対する圧力強化、イランへの一段の経済制裁を米政府は検討しているうえ、ベネズエラでは停電の影響で電力供給が不足し、輸出ターミナルが操業を停止しているとも伝わっており、この2カ国の原油供給減少が世界的な需給引き締まりにつながるとの観測が強まった。来月初旬には、日本を含む8カ国のイラン産原油禁輸措置の適用除外の猶予期間が終わることもあり、不透明感が一段と強まってきている。この2カ国に加え、リビアでは政情不安の高まりが再燃している。