相続対策は早めに行うのが効果的だといわれています。そのため「ジュニアNISA(ニーサ:少額非課税制度)」をうまく活用することも有効な対策の1つとなります。

相続税を減らすのに、なぜ生前贈与が有効なのか?

「相続税を減らしたいなら生前に贈与をすべき!」というのは、何となく聞いたことのある方が多いと思います。でも、なぜ生前贈与をすると相続税対策になるのか、その理由について理解している人は意外と少なかったりします。

 なぜ生前贈与が有効なのか、それは相続税と贈与税の税率の差にあります。贈与税の税率は相続税の税率より高いと思われていますが、それは一度に多額の財産を贈与した場合の話です。一度に贈与するのではなく、何年かにかけて小分けに贈与をしていけば、贈与税の税率は相続税の税率よりはるかに小さくなるのです。

 1人に対して年間300万円贈与すると、受け取った側の贈与税は19万円。税率でいえば6.3%に過ぎません。

 例えば、子ども(将来の相続人)が3人いて、相続が現状のまま発生するとします。相続税の税率が30%かかる方の場合(基礎控除後)、それぞれの子どもに年間300万円ずつ5年贈与すると、合計で300万円×3人×5年=4,500万円です。これに対する贈与税額は19万円×3人×5年=285万円です。

 もし、この4,500万円を贈与しないと相続財産として残りますから、4,500万円×30%=1,350万円の相続税がかかります。1,350万円の税金がかかるものが、生前に贈与しておけば285万円で収まるのです。

 

「父母から子へ」より「祖父母から孫へ」の方が、より有効な対策に

 また、生前贈与は「父母(親)から子」より「祖父母から孫」へ行った方が、より有効な対策となります。

 親から子の場合、親が亡くなる以前(相続開始前)3年以内になされた贈与については、相続財産に加算されますので、相続税を軽減する効果がなくなってしまいます。

 また、税金とは直接関係はありませんが、相続人への生前贈与は遺留分算定の際に加味されたり、遺産分割協議の際に問題になったりしますので、やり方を間違えると逆にトラブルの原因になる可能性もあります。

 しかし、祖父母から孫への贈与(いわゆる「一代飛ばし」と呼ばれる方法です)であれば、孫は祖父母にとって相続人ではないので、相続開始前3年以内の贈与であっても相続財産とはなりません(ただし、養子縁組で孫が祖父母の相続人になっている場合は、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されます)

 つまり、祖父母から孫への贈与を行えば、その時点で祖父母の相続財産から切り離すことができるのです。すでに子が高齢になっているのであれば、親から子ではなく、祖父母から孫への贈与を検討してみてもよいでしょう。