どうなる?国内の「中国関連株」の行方

 国内市場では、年後半に向けた中国の景気対策効果と米中貿易交渉の進展期待を受け中国関連株に底入れ期待が広まっています。図表3は、2018年4月以降の「日経中国関連株指数」と短期・長期の移動平均線の推移を示したものです。日経中国関連株指数は、中国で積極的に事業展開を進めているグローバル企業50社から構成されている時価総額加重平均指数です。中国関連株は、業績見通しが中国の景況感や設備投資需要の動向から影響を受けやすい特徴があります。

 チャイナリスクと呼ばれた景気の底割れ懸念と貿易摩擦激化懸念を受けて昨秋から年末にかけ下落した中国市場は回復しつつあり、日経中国関連株指数もすでに200日移動平均を上抜け過度の悲観は後退しつつあります。米中貿易交渉の行方にいまだ予断を許しませんが、先行きを予見しようとする株式はチャイナリスクがいったん山を越えたとみているようです。

 重要な点は、これら中国関連株がTOPIXで大きなウエイトを占める主力銘柄であることです。今後は、中国の景況感底入れと米中通商交渉の具体的な進展を確認し、関連株それぞれの業績を見極める展開となりそうです。

図表3:国内の中国関連株の推移(過去1年)

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2018/4/1~2019/4/3)

図表4は、日経中国関連株指数を構成する50銘柄のうち、「年初来騰落率」の降順で20銘柄を一覧したものです。中国株式市場の堅調が、今年後半の景況感や設備投資需要の回復を視野に入れる動きと想定するなら、国内の中国関連株も業績見通しの底入れを確認しつつ、年後半に向けて業績の改善を織り込んでいく可能性があります。下記一覧のなかで、(1)年初来騰落率が二桁以上で、(2)本年度(2020年3月期)の予想EPS(1株当り利益)の前年比増益率(市場予想平均)が二桁以上の伸びが見込まれている銘柄としては、日立製作所(6501)TOTO(5332)京セラ、(6971)TDK(6762)三菱重工業(7011)村田製作所(6981)資生堂(4911)が挙げられます。チャイナリスクの緩和に伴い、年後半に向けて業績が改善すると見込まれる銘柄群に注目したいと思います。

図表4: 日経中国関連株指数の構成銘柄

年初来騰落率ランキング  
  コード 銘柄名 株価
(円)
年初来
騰落率
19年
3月期
予想PER
(倍)
20年
3月期
予想PER
(倍)
20年
3月期
増減益率
(%)
1 8035 東京エレクトロン 17,345 38.6 12.3 16.5 -25.9
2 6273 SMC 43,360 30.4 21.0 22.0 -4.7
3 6501 日立製作所 3,756 28.0 17.0 8.6 98.2
4 6503 三菱電機 1529.5 25.7 14.2 13.9 2.2
5 5332 TOTO 4,765 25.1 25.2 22.6 11.6
6 6954 ファナック 20,745 24.4 27.2 35.0 -22.1
7 6103 オークマ 6,460 22.8 11.6 12.4 -6.7
8 6971 京セラ 6,707 21.8 23.9 16.9 41.3
9 5713 住友金属鉱山 3,557 20.7 13.9 12.9 7.4
10 6762 TDK 9,310 20.6 15.1 13.4 12.8
11 4612 日本ペイントホールディングス 4,500 19.7 34.9 33.3 4.7
12 7011 三菱重工業 4,713 19.1 17.4 15.7 11.4
13 4063 信越化学工業 10,165 19.1 13.9 13.4 3.9
14 6305 日立建機 3,050 18.6 10.0 9.9 1.1
15 6471 日本精工 1,111 17.1 10.0 11.8 -15.3
16 5406 神戸製鋼所 890 16.5 8.6 11.0 -21.5
17 6301 小松製作所 2,752 16.3 10.4 9.9 4.9
18 4183 三井化学 2,873 15.7 7.1 7.2 -2.1
19 6981 村田製作所 5,736 15.1 18.3 15.3 19.2
20 4911 資生堂 7,802 13.2 38.9 31.7 22.9
*上記は、日経中国関連株指数を構成する50銘柄を「年初来騰落率」の降順に示したものです。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2019年4月3日)
 


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