アンリツ

1.2019年3月期3Qは24%増収、営業利益2倍

 アンリツの2019年3月期3Q(2018年10-12月期)は、売上収益267億8,500万円(前年比24.2%増)、営業利益42億3,300万円(同2.0倍)となりました。大幅増収増益でした。

 主力のT&M(計測)事業が、今3Qは売上収益194億4,600万円(前年費41.6%増)、営業利益39億6,900万円(同3.0倍)となり、全社業績をけん引しました。T&M事業の今3Q業績は、今2Qの売上収益147億6,700万円(同10.8%増)、営業利益10億2,600万円(同21.4倍)を大きく上回るものでしたが、これは5G用計測器の受注が多く、今期初に約30%だった5G用計測器の売上比率が急速に上昇しているためです。顧客は、チップセットメーカーが多く、スマホ端末メーカー、通信会社(キャリア)が続いています。

 今3Qの業績好調を見て、会社側は2019年3月期通期業績予想を1月30日付けで上方修正しました。前回予想の売上収益920億円(前年比7.0%増)、営業利益70億円(同42.5%増)は、売上収益980億円(同14.0%増)、営業利益110億円(同2.2倍)に上方修正されました(表3)。

表3 アンリツの業績

株価 2,018円(2019/3/28)
発行済み株数 137,334千株
時価総額 277,140百万円(2019/3/28)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの

表4 アンリツ:セグメント別業績

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成、予想は楽天証券

 

2.来期も好業績持続へ

 5Gサービスが本格化し、5G対応スマートフォンが本格的に出荷されるようになるのは、2020年からと思われます。そのため、計測器の需要増加は、2020年3月期、2021年3月期と続くと予想されます。会社側は5G投資のピークを2022~2023年と予想しているため、アンリツの業績のピークも2023年3月期か2024年3月期と予想されます。それまでは持続的な成長が期待できると思われます。

 リスクは、業績拡大に伴って技術者を増やすことが必要になっていること、来期から4G投資が本格的に減少に向かうと予想されること、これまで5G用計測器を販売していなかった競合会社の1社であるローデ・シュワルツが5G用計測器の新製品を発表したことです。もう1社の競合会社であるキーサイトは既に5G用計測器を販売しています。

 また、5G投資は4G投資を上回らないという見方があります。5Gの規格の一つであるNSA(Non-StandAlone)では、4Gとある程度設備を共用するためです。ただし、5Gの需要はスマホだけでなく、幅広く一般産業に拡大するため、計測器投資を含む設備投資も4Gに匹敵するものになる可能性もあります。

 このような見方から、楽天証券では2020年3月期を売上収益1,100億円(前年比12.2%増)、営業利益140億円(同27.3%増)、2021年3月期を売上収益1,200億円(同9.1%増)、営業利益170億円(同21.4%増)と予想します。

 今後6~12カ月の目標株価を2,500円とします。2020年3月期楽天証券予想EPS78.6円に今期予想PER32~33倍を当てはめました。投資妙味を感じます。

グラフ1 アンリツ:T&M(計測)事業の業績

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成、予想は楽天証券

グラフ2 アンリツ:T&M(計測)事業の受注高と受注残高

単位:百万円
出所:会社資料より楽天証券作成