雇用者の増加ペースは今後鈍化する?

 米国が深刻な人手不足に悩んでいることは、前回の雇用統計詳細レポートでもお伝えしましたが、それなのに2月の雇用統計の雇用者数増加はわずか2万人という、リーマンショックの時でも経験しなかったような急激なペースダウンとなりました。ただし、これは米政府機関の閉鎖や悪天候など一時的要因との見方で、今回は17.8万人増加まで回復するとの予想です。

 とはいえ、米国の雇用がこれまでのようなペースで増加する時代は終わったのかもしれません。それは何を意味するのか?米国では働きたい人はもう全員仕事を見つけてしまった、いわゆる「完全雇用」状態になったのか、それとも経済が重大なターニングポイントを迎えたのでしょうか。

 もし前者だとすれば、企業が人材を取り合うことになって、賃金は今後上昇していくと考えらえます。実際、平均労働賃金は、前月比+0.2%、前年同月比+3.4%と堅調な予想になっています。

 しかし、賃金上昇がインフレ上昇につながるかといえば、そのような傾向は見られません。だからFRB(米連邦準備制度理事会)はこれ以上の利上げは必要なしとの判断に至ったわけです。今後は、平均労働賃金が伸びる以上のペースで雇用者増加が減ることになるでしょう。