3月11日~15日 原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は続伸。世界的な需給引き締まりへの期待が高まり、買いが優勢となった。WTI期近4月限は一時58.95ドルまで上昇し、期近ベースとしては約4カ月ぶりの高値を付けた。

 サウジアラビアが協調減産に積極姿勢を示した。ファリハ・エネルギー鉱物資源相は、6月開催予定の石油輸出国機構(OPEC)総会前に減産方針を変更する可能性は低いとの見解を示した。また、3月の同国の原油生産量は日量980万バレルで、4月も同水準を維持する予定だという。協調減産合意のもとでの生産目標は同1,031万バレルほどで、この水準を大幅に下回る生産を維持することになる。さらに同国当局者から、4月の原油輸出量は日量700万バレル以下に削減する方針であることが明らかとなった。サウジアラムコの石油割当量は、需要国の求める水準を同63.5万バレル下回る見通し。供給過剰解消に向けて積極姿勢を継続する方針が示されたことを市場は好感した。その後、OPEC発表の月報のなかで、同国の減産幅が前月に比べて鈍化してはいるものの、2月の原油生産量は日量1,008.7万バレルと目標水準を下回っていることが確認され、3月、4月のさらなる落ち込みの信憑性が高まった。

 米国の原油在庫が予想外の減少となったことも相場上昇の支援材料となった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油生産量および輸入量が減少し、それが影響して原油在庫は増加予想に反して減少した。昨今のシェール活動および各機関の先行きの見通しからすると、生産量が減少し続ける可能性は低いが、輸入量の減少は懸念材料となる。前の週では回復した輸入量は再び減少、前述の通りサウジアラビアが4月に輸出量を制限することを明らかにしていることもあり、今後も輸入量が低位で推移する可能性がある。米国はサウジアラビアから相当量の原油を輸入している。EIAの統計では、12月の原油輸入量は日量710万バレルほどで、このうち同84万バレルを同国が占める。また、サウジアラビアのほかベネズエラからの輸入量減少も影響が大きい。経済制裁の影響でベネズエラ産原油の輸入が落ち込む公算が大きいため。12月の同国からの輸入量も同50万バレルと大きなシェア。この2カ国からの輸入量が減少することで、全体の輸入量が落ち込み、それが原油在庫の取り崩しにつながるとの連想が働いた。