山崎 投資は、運用を長く続けないと成果が上がらない種類のものです。ところが多くの人は、株を安く買って高く売って利益を得ることを投資だと思っています。

横山 そうですね。投資=売買して儲けることだ、と理解している方は多いですね。
 
山崎 投資とは、自分のお金を資本として経済活動に提供し、そのリターンを得ることだと理解してください。自分が稼ぐわけではないけれど、自分が投資したお金に働いて稼いでもらっている。そのことを理解する助けになるのが、中桐さんの「日本一カンタンな『投資』と『「お金』の本」(クロスメディア・パブリッシング)です。

中桐 ありがとうございます。私は、山崎さんと同じく山一証券に新卒で入って、リテール営業を経験し、山一が自主廃業した後、メリルリンチ日本証券株式会社へ移りました。メリルリンチ時代、私は毎朝、株式新聞を読んで、今日はどの銘柄が儲かりそうかをお客さまに伝えていました。長期投資について、当時は、今一つ納得していなかったので、投資信託についても「今なら何が儲かるのか」という視点でお客さまに情報提供していました。

 その後、独立する時に、ジェレミー・シーゲルの長期投資関連の本、ジョン・C・ボーグルさんの「インデックス・ファンドの時代」などを読んで、改めて長期投資を学び、その概念と長所に賛同しました。今は、長期投資の成果を、お客様にどのように得ていただくか、を考えながらアドバイスをしています。

――つまり投資とは、投資家お金を資本として経済活動に提供し、長期的に経済が成長することで利益を得る、という理解になりますか?

山崎 資本主義が発達して経済が成長するのが理想的ですが、仮に経済や企業が成長しなくても、株式投資は儲かるようにできています。イメージしにくいでしょうが、例えば高成長を織り込んでいる株価を持つ企業が、実際に高成長を達成した場合と、低成長が予想されている株価の会社が、実際に低成長だった場合とでは、前者が儲かるとは必ずしも言えない。

 また、日本は人口が減るので低成長経済になる、日本株を買っても儲からない、と考える人が増えてくると、実はしめしめと思う人もいる。それがマーケットのメカニズムです。株式投資には「経済の先行きを信じること」「マーケットのメカニズムを信じること」という二つのメカニズムが働いているのです。

――手段と考え方を間違えない限り、投資は有利な手段であることは理解できました。ただ、投資初心者が一番迷うのは、何を買えばいいのかです。後編では、投資商品の選び方を教えてください。

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