「経済活動に参加すること」こそ本当の投資
――投資を始めるならば、勉強して理解してからでないと始められない、と思っている人がいます。一方で、投資の専門家を目指すわけではないので、すべてを理解するほどの本格的な勉強をしている暇はありません。理解度としては、どれくらい理解していれば始めることができるのですか?
横山 私はお客さまに「知っている、または、分かる範囲で投資をしてください」とお話しています。投資商品の中身が分からないまま買うのは賛成しませんが、それが何なのかを理解できているのなら、とりあえず買って体験すればいい。初心者で、世界のことは分からないが日本なら分かる、というなら、日本株インデックス・ファンドのTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価に連動する投資信託、または、バランス型の投資信託がよいでしょう。わが身を振り返って思うことですが、投資の勉強には本当に際限がありません。自分で敷居を高くする必要は全くないと思いますよ。
山崎 「投資で資産が増える理屈」を納得してもらうためには、高校1年くらいの常識があれば十分です。「利回り」「複利」を理解し、ハードルが上がるけれど、できれば「割引現在価値(将来の金額を現在の金額に変換したもの)」までを知っておく。そこまで理解していれば、「株式は債券や預金よりも高いリターンが期待できる」という理屈が分かるはずです。
そこが納得できて、資本主義市場では、リスクを多く含んでいる商品が、リスクを少ししか含まない商品より高リターンが要求されることが分かっていれば、あとは、投資商品の中で一番効率の良さそうなものを選べばいい。複雑に考える必要はありません。
個人の状況別にぴったりな商品があるわけではありません。例えば退職金の運用に特化した商品というようなものがあるわけではないのです。私のような理屈っぽい人間が「あれが間違っている」とか「これくらい覚えておけ」と言うから、投資は難しいと思うのかも知れないけれど(笑)。
横山 「資本主義市場では、リスクを多く含んでいる商品が……」というあたりは、投資未経験のお客さまには難しいかも知れません。もっと簡単に説明すると、どうなりますか?