米国の航空会社を取り巻く環境は良い

 米国の航空会社を取り巻く環境は良いです。折からの好景気で旅客が多いこと、無茶な事業拡張を試みる業者がいないこと、ジェット燃料の価格が比較的低位で安定していることなどがその背景にあります。

 図1は有効座席マイルという指標で、各社の運航する旅客機の総座席数に、運行した距離を掛け算したものです。「顧客輸送力のキャパシティーがどれだけ増えているか」を示す指標だと思ってください。

図1:有効座席マイル(年次報告書)

単位:百万マイル

 これを見ると各社ともキャパシティーは微増に留まっており、無秩序な競争が起きてない様子がうかがえます。

 次の図2はロードファクターと呼ばれる指標です。これは有償座席利用率とも呼ばれ、「お金を払って乗っている乗客で座席がどのくらい埋まっているか」を示す指標です。

図2:ロードファクター(年次報告書)

単位:%

 当然、この数値の高いほうが稼働率は良いことになります。

 デルタ・エアラインズ(ティッカーシンボル:DAL)が抜きん出て高く、一方、かつての優等生だったアラスカ・エアー(ティッカーシンボル:ALK)はロードファクターが落ちています。また効率経営で知られてきたサウスウエスト・エアラインズ(ティッカーシンボル:LUV)も精彩がありません。

 図3の有効座席マイル当たり旅客収入は「旅客機を飛ばすことで1つの座席が1マイル飛ぶごとに何セント(¢)稼ぐか」を示しています。

図3:有効座席マイル当たり旅客収入(年次報告書)

単位:¢(セント)

 言い換えればキャパシティー当たりの「売上げる力」を示しています。ここでもアラスカ・エアーの凋落(ちょうらく)が目を引きます。