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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が2月22日に小惑星「りゅうぐう」への着陸に成功しました。順調な着陸だったことは、国内企業の技術の高さを示した結果となりました。これにより将来の資源開発でも注目される小惑星探査で世界を一歩リードした形となりました。『宇宙事業』は宇宙が本格的なビジネスの場と見られるようになり、民間企業の参入が相次いでいます。今後の動向が注目されます。

 

【ポイント1】「はやぶさ2」が「りゅうぐう」への着陸に成功

政府の宇宙基本計画では10年間の事業規模で累計5兆円を目指す

「はやぶさ2」の「りゅうぐう」への着陸の成功により、『宇宙産業』への注目が高まっています。『宇宙産業』にはロケット・人工衛星など宇宙開発に必要な機器や資材などの宇宙機器産業と、衛星データなどを活用する宇宙利用産業とがあります。衛星データは、自動運転など様々な分野への活用が見込まれています。

 内閣府宇宙政策委員会の「宇宙産業ビジョン2030」によると、2015年に決定された宇宙基本計画では、我が国の宇宙機器産業の事業規模を10年間で官民合わせて累計5兆円を目指すとされています。さらに、宇宙利用産業も含めた宇宙産業全体の市場規模(計画策定時点1.2兆円)の2030年代早期の倍増を目指して、その実現に向けた取組みを進めるとされています。

 

【ポイント2】「はやぶさ2」は日本企業の技術を結集

開発には多数の日本企業が参画

 ロケットや衛星、探査機などの宇宙関連機器は極めて高い精度が求められます。「はやぶさ2」には300社近くの日本企業が開発・製造などに参画し、技術を結集しました。初代の「はやぶさ」に比べて順調な着陸だったことは、日本企業の技術の高さを示しました。

「はやぶさ2」はJAXAが全体のプロジェクトを統括し、NECが開発・製造を主に担いました。その他参画企業にはエンジン関連で三菱重工業、位置計測関連で富士通、リチウムイオン電池では、古河電池、耐熱性カプセルではIHIエアロスペース、エックス線分光装置では明星電気などがあります。

 

【今後の展開】着実な投資の継続による『宇宙産業』の拡大に期待

 欧米が先行している『宇宙産業』は小惑星「りゅうぐう」への着陸成功により、日本が小惑星探査で世界を一歩リードした形となりました。『宇宙産業』の拡大には民間を巻き込んだ着実な投資の継続が不可欠となります。技術開発と同時に進む低コスト化により民間の参入が促され、投資が継続することにより日本の宇宙技術が更に向上して、『宇宙産業』が拡大していくことが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。