1日も早く資産形成の準備に取り掛かるべし

──最後にファイナンシャルプランナーというお立場からトウシル読者にアドバイスをいただきたく思います。まずは老後資金について。老後が不安なので投資を始めるという人が多いと思うのですが、そもそも安心して老後を迎えるにはどれくらいの額を用意すべきなのでしょうか。

 いろんな方からよく聞かれる質問ですが、通常は1人だったら2,000万円、夫婦2人だったら3,000万円と答えています。ただし、これはあくまでも理想であり、実際には人によって異なります。例えば持ち家があるかないかによって全く違いますし、どのくらいの生活レベルを望むのかにもよります。

──持ち家があるし、お金を使う趣味もないので年金だけで十分事足りる。こういう人は蓄えがなくても平気ですしね。

 極論すればそういうことです。ただし、不測の事態への備えも必要ですから、どんな人でもある程度は蓄えておきたいところです。

──何歳くらいから老後に向けて準備を始めるべきでしょうか。

 それは早いに越したことはありません。資産形成で何が大事かといったら、何より「時間」なんです。たっぷり時間があれば、何か試してうまくいかなくても、もう一度やり直すことができます。でも定年間際に慌てて始めて失敗したら取り返しがつきません。だから、20代だろうと30代だろうと40代だろうと、今すぐ準備、お金の勉強に取り掛かってくださいと言いたいです。

──今から投資を始めるとしたら何を薦めますか。まずはやはりインデックスファンドということになるのでしょうか。

 株式投資に特別興味があるわけではないし、深く勉強するのも気がすすまない。そういう人はインデックスファンドから入って頂きたいです。勉強したからと言って必ずしも結果につながるとは限らないのが株式市場だと思っています。

──それでは、インデックスファンドを始めるときの注意点は?

 前に投資信託は買ったら持っているだけでいいと言いましたが、それでも「管理」は必要です。たまには証券会社のサイトにログインして、自分が持っているファンドの運用状況をチェックすべきですし、月次レポートなどに目を通すことも必要でしょう。

 僕のような「投資好き」には苦でもなんでもありませんが、全く興味のない人にとっては面倒だと思うんです。

 そこで、大事なのが「管理」のしやすさです。例えば複数のファンドを持つ場合、いろんなファンドをバラバラに買うのではなく、1つのシリーズにまとめる。これだけでずいぶん「管理」がラクになります。

──つまり、日本株式のインデックスファンドと海外株式のインデックスファンドを両方持つ場合など、同じシリーズ、同じブランドで統一したほうがいいと。

 はい。バラバラだとそれぞれ別のサイトやページをチェックしなければなりません。あっちも見なければならない、こっちも見なければならないと。それでだんだん面倒になり、管理が行き届かなくなる人も少なくないんです。

──「金融機関などに勧められた」「手数料が低い」という理由だけで、あれこれ購入するのはあまり良くないということですね。

 はい、そのあたりも注意してほしいですね。

──今日はどうもありがとうございました。

日本株を買うことは「将来への期待」と話す尾上さん。「日本企業に良くなってもらいたいと思って投資しています。老後の自分や子供が生きる世界が良くなるように、プレッシャーをかけているつもりです(笑)」

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