3月の株主優待の注意点

 いよいよ株主優待投資で一番忙しい3月がやってきました! 今年の3月優待株の権利確定日は3月29日(金)(3月30、31日が土日のため)。優待を手に入れるためには、3月26日(火)の取引終了から翌27日(水)の優待権利落ち日まで株式を保有している必要があります。
 例年よりも早めなのでご注意ください。

 3月期末に決算を迎える企業は日本取引所に上場する3,648銘柄中、2,353社にも上り※1、株主優待制度を実施している企業も約790社※2と、突出して多いのが特徴です。数が多いだけあって、優待内容もさまざま。定番の自社商品・店舗での買物・食事券だけでなく、クオカードなど金券優待も多くあります。さらに地域特産品を贈呈するこだわり系カタログギフトなどゴージャス系優待まで。
※1:参考:日本取引所サイトより(2019年2月19日時点)
※2:楽天証券「株主優待券策より」

 3月末の優待株の総数が790銘柄と断トツに多いこともあって、優待投資家のみなさんも「果たして、一番人気はどんな銘柄なのか?」、興味津々のはずです。

 栄えあるランキング人気No.1に輝いたのは日産自動車。同社はカルロス・ゴーン前会長の逮捕劇などで株価が急落したこともあり、今3月期末の配当利回りが現状6%を超える国内屈指の好配当株となっていることが、優待人気にも影響しているようです。

 優待内容は、日産自動車の新車購入者を紹介すると、株主に5,000円相当のギフトカード、新車購入者にも5,000円相当のカタログギフトが贈呈されるというもの。

 配当利回りと優待内容の充実度が人気の背景ですが、直近では自動車の販売不振などを理由に業績の下方修正を行っています。また、ゴーン被告の報酬虚偽記載で約92億円を費用計上するなど、業績面での不透明感が強い状況。配当の減額や優待内容の改悪などが出ないとも限りませんので、この点には注意が必要かもしれません。

 人気第2位は、4%後半の好配当利回りで知られるリース会社のオリックスです。優待内容は、オリックスの全国取引先が取り扱う商品を厳選したカタログギフト「ふるさと優待」と、同社が提供する各種サービスを割引価格で利用できる株主カードの2本立て。こちらも、日産自動車同様、利回り4%後半の株主配当に加え、お得な優待品を受け取れることが人気の理由です。

 3位は家電量販店のヤマダ電機の買物割引券優待。100株以上500株未満の保有では3月末に1,000円分、9月末に2,000円分の優待券が贈られ、1,000円の買物ごとに500円割引券1枚が利用可能です。1年以上の長期保有で、3月、9月末合わせて割引券が2,000円分上乗せになるなど、長期保有優待も充実しています。

 配当も加味した「優待のおトク度」に人気や注目が集まる3月優待ですが、4位のANAホールディングスの国内航空券割引優待は長年、“超定番”として愛用者の多い人気優待です。その内容は、100株の保有で、国内路線の片道1区間を優待割引運賃で搭乗できる「株主優待番号ご案内書」を3月末、9月末に各1枚もらえる、というもの。2018年9月末優待からは、ANAの運賃体系から片道運賃が廃止され、需要に応じて値段が変化するANA FLEX運賃制度が導入されたことにより、その最安値であるFLEX-D運賃の50%割引が適用されるようになりました。

 5位には100株で3,000円相当の「au WALLET Market」商品カタログギフトが贈られるKDDIがランクイン。6位には100株の保有で3月末、9月末に合計4,000円相当の株主優待カードのポイントが付与される回転ずし・居酒屋チェーンのアトムが入りました。傘下にあるコロワイドグループ各社でも利用できる店舗数の豊富さも大きな魅力です。

 ほかにも、自社商品のミニカー「トミカ」2台セットなどがもらえるタカラトミー、100株保有なら東京ディズニーランドまたはディズニーシーの1デーパスポート年間1枚が贈られるオリエンタルランドなども、根強い人気がある“超定番優待”といえるでしょう。

 

3月は優待獲得の勝負のとき!?

 3月優待は数が多く、魅力満点の優待株が多いので、現物買いと信用取引の新規売りを同時に発注するつなぎ売りを駆使して、優待権利獲得数を稼ぐ熟練投資家が多いのも特徴です。そうすると一時的に優待投資が増えますが、つなぎ売りなら、ある程度、株価の下落リスクを抑えたうえで魅力的な優待を数多く獲得することができます。

「株主配当と優待×おトク度」を参考に、使い勝手のいい魅力的な優待をどれだけ効率よく取得できるか、3月優待は優待投資家としての「腕の見せどころ」といえるでしょう。