線形トレンドとMACDにも上方向への意識が感じられる

 また、別のテクニカル指標でトレンド面から足元の状況を見ていきたいと思います(下の図2)。

■(図2)日経平均(日足)の線形トレンドとMACD(2019年2月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 上の図2は、日経平均の直近高値である昨年10月2日を起点とした線形トレンドとMACDの推移です。

 線形トレンドの傾きはまだ下落基調を描いていますが、日経平均は+2σ(シグマ)の線を上抜けしそうなところまで値を戻しています。下段のMACDも横ばいの動きながらも0円ライン上をキープしており、上方向への意識は根強いことが感じ取れます。こうして見ると、+2σ超えや2万1,000円台乗せの維持、75日移動平均線の上抜けはそんなに難しくないように見えます。

 とはいえ、+2σの線までの株価上昇は「下落トレンドの範囲内での戻り」ですが、ここから先は「トレンド転換に向けた戻り」となり、同じ株価の戻りでもかなり意味合いが異なってきます。いわば「戻り基調の第二段階」に入るため、株価材料についても、今後は買い戻しから買い上がるものが求められることになると思われます。

 

NYダウ、株価とRSIの「逆行現象」

 そもそも、先週に見せた株価上昇は、米国で暫定予算案が合意される見通しとなり、米政府機関の再閉鎖が回避できるとの観測が広がったことと、先週11日から行われている米中の次官級および閣僚級協議への期待が高まったことを背景に米株市場が上昇したのがきっかけです。政治的な要素が強いだけに、ムードの再悪化には警戒しておいた方が良さそうです。

 では、その米国株市場の状況についても見ていきます。下の図3は米NYダウの日足チャートとRSI(相対力指数)の動きです。

■(図3)米NYダウ(日足)チャートとRSI(2019年2月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 NYダウは75日移動平均線を上抜けてからも戻り基調を描いているほか、週間ベースでも2月15日時点で8週連続の上昇となっています。順調な相場地合いが続いていますが、下段のRSIに注目すると、こちらは切り下がっていて、いわゆる「逆行現象」となっています。

 株価が戻り高値を切り上げている中での逆行現象はトレンド転換型とされていますので、そろそろ上昇が一服してもおかしくはなく、米国株の相場地合いの悪化には少し注意が必要です。ちなみに、同じ米国のS&P500指数も同様に逆行現象が現れています。

 先週は米国株の上昇が日本株のムードを好転させましたが、今度は逆のパターンもあり得るわけです。そう考えると、今週は上げ下げを繰り返すもみ合いシナリオも考えられます。仮にそうなったとしても、株価水準を維持できれば図1の5日と25日移動平均線が75日移動平均線に近づくことになり、チャートの形は徐々に改善へと向かって行きます。そのため、あまり欲張らないことが肝要な局面なのかもしれません。